第17章 0
「白石さんは…進路の方は、どうお考えで?」
翌日、殺せんせーとの進路相談。
皆ももう昨日の内に終わっていたらしく、私は朝から職員室で二者面談だ。
まあ、私の進路なんか相談するだけ意味の無いものなのだけれど。
『ふふっ、分かってるんでしょう?私が学生やるのは今回限りの事です…終わったら今まで通り武装探偵社で働きますよ。たまにポートマフィアのお手伝いしながら』
「……確かに白石さんにとっても天職と言えるほど合っている…ですが、もう少し学生生活を送ってみてもよろしいのでは?高校や大学なんていう道も、貴女ほどの頭があるのに行かないのは非常に____」
殺せんせーはそれ以上は何も言わなかった。
私の表情に何かを感じたのかもしれない。
『無理ですよ、今の私は浅野さんや烏間先生のおかげで…殺せんせーのおかげで、仕方なく雇われて来させてもらってる身なんです。元々戸籍の無い私が高校進学…ましてや大学なんて、夢見るのにも程がありますって』
「…では、もしも戸籍があれば……貴女はどうしたいですか?」
『!私に戸籍があったら?……そうだなぁ…………私にもしも戸籍があったら、私は中也と籍を入れたい。あの人と結婚がしたい…それくらいしか、雲の上の話すぎて思いつかないですし…それが私の一番の望みです』
「ふむ………では白石さん。もしもその上で中原さんから高校や大学に進学しろと言われたら、貴女はどう思いますか?」
言葉が出てこなくなった。
多分、そんな事態になりでもすればあの人は行ったほうがいいと言う。
行った方がいい…お前はちゃんと学校に行けるんだから、と言うだろう。
だけど私の中では、正直今更…なんていう考えもあるのだ。
現に今学生生活を送って、友達を作って…これ以上に恵まれた環境を与えられてもいい程の人間ではないと、思うのだ。
『………やっぱり、手の届かない話ですから。今でこれまでにないほど充実しちゃってるんで、就職になると思います』
「…椚ヶ丘高校を受験してみては?理事長は浅野さんですし」
『その話は前にもされましたけど、私は…』
「中原さんに遠慮はしていませんか?」
『…………してないですよ。私には無いような話なので、そこまで真剣に考えた事が無いだけです…それに、私が中也に何を遠慮する必要があるんです?大丈夫ですよ』
殺せんせーは私を見つめるだけだった。