第17章 0
「こっち…はさっき食ったな。こっちは?」
『…おいしぃ……こっちのが好き』
「じゃあこれあと三つくれ」
「は、はい!!」
磯貝君にいちごパフェを注文する中也。
は、いい。
そこはいい…のだが。
『……降りてい「ダメだ」ですよね…』
中也の膝の上に乗せられて、そのままいい子いい子と撫で回されながら口に甘いものを運ばれる。
何これ、何だこれ。
「中原さんいつにも増して甘っ甘だね…?」
「ていうか蝶ちゃん大丈夫なの体調…」
『う、うんそれはもういい………けど、中也がいつも以上に頭おかし「照れ隠しすんのも相変わらずだな、可愛い」……おかしいでしょ』
「「「否定は出来ない…!!」」」
磯貝君のお店に前のメンバーで集まっているのはいいのだが、本当に本人の口にしていた通り、甘やかされているこの状況。
甘やかし……否、これは最早お世話の域だ。
この人こんなに世話好きだったっけ。
『…中也、あの……もういい?そろそろ本当に恥ずか「ダメだな。可愛い」ぁ、う…ッ』
「蝶ちゃんが口説かれてる」
「あの白石がここまで返り討ちにあうとか珍しくないか…?」
「蝶ちゃんそういえば最近よくぼーっとしてること多いもんね、中原さんのことで。…もしかしてもっともっと好きになっちゃった〜みたいな?」
カエデちゃんに図星を指されてビクッと肩が跳ねる。
『そ、そそそんな事ないし…中也の事好きになってるとか常にだし、自然の摂理だし』
「白石それ認めてるから」
『な、なな何よ!?いけない!!?仕方ないでしょそうなんだからああ!!!』
「お〜よしよし、分かった分かった。お前が俺のこと大好きなのはよぉく分かった」
「「「手懐けられてる…」」」
うああ、と声を漏らして顔を両手で覆うも、それさえもを可愛がるように撫で続ける中也。
天ご……いや、地獄かここは。
ご褒…拷問かこれは。
『な…なによ……っ、…普段こんなにしてくれな…しないくせに!!』
「今してくれねえって言ったよな」
「ああ、言ったな」
『しないくせに!!!』
「「「言い直した!!!」」」
嫌どころか嬉しいんだもの、仕方ない。
…でも本当、こんなにしてくれる事なんか普段ないのになんで急に。
「蝶さんに構い続けて鬱陶しいって言われたら悲しいからなぁ俺?」
『そんな事私がいつ言っ…にゃぅ!!?』