第17章 0
『ひ、一人で歩ける!!!』
「お前さっき血吐いたからダメだ」
『が、学校でしなくても…ッ』
指を絡めた繋ぎ方。
絶対脈早くなってる今、絶対バレてる。
寝台から降りようとすれば所謂恋人繋というものを中也にされて、振り払おうにも恥ずかしいだけで嫌というわけではなくてどうにも出来ないこの状況。
「外でならしねえとたまに拗ねるくせしてなぁ?…嬉しいくせによ」
『!!!……っ、別の人と繋いでたらその人殺すから…』
「おーおー、怖ぇこと言うなよ特別幹部さん…心配しなくとも俺みてえな奴とこんな事してえ物好きお前くれえだろ」
『…中也はかっこいいもん』
「え、マジでデレ期来た?お前」
中也の発言に顎に頭突きを食らわせてやればすみませんでしたと素直に謝られる。
『ひ、ッ…人が、す、素直に言ったらすぐそうやって……!!』
「悪かったって!?けど一つだけ言い訳させろ!!!」
『何よ!!中也の浮気者!!!』
「浮……!!?…じゃねえよ!!!妬いて拗ねてる蝶が俺のこと照れさせてくんのが悪ぃんだよ!!!」
まさかの逆ギレ…ならぬ逆褒め。
『他の子の方がいいんじゃないの!?私なんかよりさ!!!』
「お前と他の奴らとじゃ比べもんになんねえんだよ、気づけいい加減!!!そもそも考えてる領域の次元が違えんだお前と他とじゃ!!」
『じゃあ今日なんで目逸らしたの!!』
「そりゃ俺が普段みてえに近付いてったら、最近お前恥ずかしがりすぎてっから授業に集中出来ねえだろうと思って…」
ピタリと口をついて出る言葉の嵐は止む。
え、待って、わざと?
構えなかったんじゃなくて、構わなかった?
『………何、そんなに私の事しか考えてなかったんですか。頭おかしいんじゃないですか』
「…知らなかったか?俺は少なくとも、お前見てるだけで死ぬまでキスし続けてやれる自信があるくれえには頭いかれてる男だが」
『本気でしそうだからやめてねそれは!!』
心の底からそう叫んだ。
いや、だってしそうじゃんこの人。
朝までし続けられるとか言って本当に朝までずっとキスのオンパレードだった人だよこの人。
「ははっ、流石にしねえよ。一気にして力尽きちまうより多少我慢しながら分けた方がいっぱい堪能出来る」
『…ッ……目…合わせてくれる人とじゃないと嫌』
「!…じゃあお前だけ見とく」
『それは怖い』