第17章 0
緊急事態発生だ。
中也の指が猫をあやすような手つきで私の首元をスリスリと撫で始めた。
『ちょッ、待っ……ぁ、ッ…離し…てぇ……!』
「あー悪い、つい可愛くてな。ついついここまで撫でたくなっちまうんだよ俺は」
『絶対悪いとか思ってな…ッはぁ…っ、う…ッ……』
ビクリと肩を震わせながら声を小さく抑えようとするも、やはり弱いところは弱い。
次第に強ばっているはずの体に力が入れられなくなってきて、中也の胸にもたれて刺激に耐え始める。
「えげつねえことすんな中原さん…これが大人の男ってやつか!!」
「これ他の誰かにやられたら蝶ちゃん怒るんじゃない?」
「いや、ていうか中原さんは別として女の子にこんな事するの普通にセクハラなんじゃ…」
『……ッ、セクハラ!!中也のセクハ「何?もっとして欲しいって?」〜〜〜ッッ!!!?』
片岡ちゃんに便乗して講義しようとすれば、最後まで言う前に指が鎖骨付近までもをなぞり始めて反論できなかった。
待って、そっちまで触られたらおかしくなる。
『待っ…ちゅ、や…ぁッ……ダメだって言って……!!』
「!……やりすぎたか?」
じわ、と目尻に羞恥や刺激のせいで雫がたまれば、中也は手を離して私を抱き寄せた。
クタリと脱力して中也の胸に顔を埋めるようにしがみつけば、中也が少し楽しそうな声を出す。
『…ッ、絶対楽しんでる……っ』
「いや、だって可愛いからよ」
ダメだこの人。
何回でも言える、もうダメだこの人。
私の弱点分かってるからっていつでもしてくるな…
そこでふと頭にあることを思いついた。
こんな事考えつく私も大概頭がおかしいとは思う。
けれど、やられたからにはやられっぱなしじゃ嫌だし…私は独占欲が強いから。
白い蝶を集めて扉を作れば、中也の手にピク、と力が入る。
「!蝶ちゃん?」
「え、白石!?」
『…ちょっと仕返ししてくる。お金置いてくから磯貝君に謝っといて』
注文した分の料金分お金を机に置いてから、そのまま中也にしがみついて顔も見ずに扉を能力で開く。
「な……ッ!?蝶、お前どこに連れて…」
『おうち』
「家!!?何するつも……ッうおおお!!!?」
そのまま能力で扉の中に移動して中也と一緒に寝室に入る。
扉を消して、ベッドの上で中也にしがみついたまま…そのまま目線を上げて目を合わせた。