第17章 0
『…そんなに言うんならもうちょっと……〜〜~っ、』
「……もうちょっと構ってほしい?」
『!!…わ、分かってるんなら………してよ…馬鹿』
「そうだな、俺ぁ大馬鹿野郎だ……よりにもよって蝶の方からイチャつきてえだなんて甘えてきた翌日にこんな事になっちまうだなんて本当に俺は大馬鹿野郎だ」
『な…ッ、ぁ……!!』
サラリと言われて何も言い返せなかった。
そうだよ、そうだよ…折角ここまで懐かせておいた癖して、次の日にすぐに構ってくれなくなっちゃうんだもん。
ここまで心を許させておいて、すぐにそういう事するんだもん。
「前にも増して嫉妬心が強くなってると見た。マジで可愛い」
『だ、からなんでそんなので…っ!!そ、そこまで分かってるんなら……ッ!!?』
スルリと腕を身体に回されて、流れるような動きで中也に横になったまま捕まえられる。
そのままギュウ、と抱きしめられるのだけれど、なんせ距離なんか近いにも程があるし中也かっこいいし、力強いし逞しいし……かっこいいし。
ドキンドキンと心臓の音が鳴り止まない。
熱くなる顔を隠すことも出来ずに中也から目が離せない。
「ははっ、やっぱり慣れてねえのなお前……ほら、怒ってばっかだと折角の可愛らしい顔がタコみたいになっちまうぞ」
『ふえ!!?…ッ、た、タコでもいいし……中也が悪いんだもん…多分』
「おう、俺が悪い。百パーセント間違いねえ。てなわけで蝶さん、今から全力で構いまくりますんで機嫌直して昨日みたいに盛大に甘えに来てください」
華麗すぎる開き直り…というか返し。
ま、まさかこう来るなんて…
ていうか全力で構いまくるって何よ、しかも盛大に甘えに来てくださいとか結局それって中也の好きなようになってるんじゃ…っていや待って私、訂正しなさい訂正。
こんな奴に甘えられて至福のひとときを過ごせる人なんて相当頭やばい人で…____
『………ちゅうして…?』
「どこに?」
『…………最近はおでこが好き』
「了解…」
『ん…ッ、……?、!?…ちょッ…と!?待っ……ひゃぁ…うッ…ちょっ、中也待っ…待ってってば!!?』
最初おでこにあっさりされて、油断した。
それから流れるように頬にキスの嵐を落としてくる中也に、結局こちらが耐えきれなくなって恥ずかしさに反論する。
「今日はしつけぇくらいに甘やかしてやるよ」