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第17章 0


イリーナ先生の言葉に大きく動揺する。
なんでそんな事…横浜の、それも付き合いの長い人達くらいにしかそんな話はした事がないはずだ。

しかしそんな人達がイリーナ先生と接点を持っているとも思えない…

「……言うな言うなって言われてたけど、あんたが零だって知って、あの男がすっごい驚いてたのよ。蝶がそこまで心を開ける人間が椚ヶ丘にいたなんてって…それで、ちゃんと聞いたわ。あんたの身体の事も、死ねない体質の事も」

『!!!!…嘘……それ、知っててなんでこんなのと普通に喋っ…』

「単純にあんたがいい奴だからよ。それに、蝶程のもんじゃないでしょうけど私も一応共感出来るものは持ってるし……蝶も、私みたいな奴のことを大事に思って、この間だってカラスマのことひっぱたいてまで説教してくれてたじゃない」

『あ…それは……っ、いや、そうじゃなくて!!』

「大丈夫、怖がらなくて。私がちゃんとついてるから…もうどこにも行こうとなんてしない。ちゃんとあんたの味方だから……あんたが大人っぽい理由もちゃんと分かってる。子供になりきれない理由も……けどここには今、ちゃんとあんたの味方がいるんだから。わがまま言わなきゃ損よ?」

イリーナ先生の言う言葉は、どこかの誰かに散々言われてきたものだ。

わがまま言わなきゃ損なんて言ったって、実際にわがままなんか、言うのも難しいものなのに。

だって、別に中也が悪いところなんてないんだもの。
私がわがままなだけで、中也のこと困らせちゃうだけで___

お前のわがままなんか、わがままなんてレベルに達してすらねえ可愛らしいもんなんだよ。

わがままっつうよりは“お願い”だな、そりゃ。

『____でも、私の事考えて動いてるだけだからあの人』

「考えてんのとちゃんと見てんのとは違うのよ?第一、本当女経験が無いのねあの男?嫉妬とか構ってほしいとか、寂しいとかっていうところにやけに鈍感じゃない」

それに少しだけ目を丸くした。

なんでだろう、今回はそれで嫌になってたはずなのに…なんだかちょっぴり嬉しいような。

私も案外単純な奴だ。

『…結婚もせめて二十歳になってからだって。指輪もまだおっきいし』

「いい指輪ね、それ…まああれじゃない?蝶もその方が自由だろうと思ったんでしょ」

『………放っておかれるより不自由なくらいな方がよっぽどいいのに』
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