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第17章 0


「…ねえ、あれどうしたの?」

「まさか略奪あ「シッ!!」あ…」

「ほら、自分で作った分くらいもうちょい食べなよ」

『む、無理…今日本当お腹空いてなくて「せめて四分の二くらい食べようよ」小さい風に言ってるけどそれ半分じゃない…う…ッ』

結局四分の一程度食べ進めたところでギブアップした。

「え、何?半分こって言ったよね?俺四分の三食べんの?半分?」

『ご、ごめんって…ごめんなさ……お願いします、後全部食べきっちゃって下さいカルマ様』

「仕方ないなぁ、今度バナナ煮オレ飲んでみてくれたら許したげる」

『り、了解…お昼ご飯にでも………も、ダメぇ…ッ』

テーブルに突っ伏してひーひー情けない声をあげる。
おかげさまで周りの声もあまり耳に入っては来ないのだけれども。

「…ち、蝶の手作り……が……で、出遅れただと…っ!!」

約一名がこれまでに無いほどに絶望しているということだけは何となく伝わってきた。
……いいでしょ別に、たまに反抗するくらい。
我慢した分の仕返しくらいさせてよね…お詫びに今日の晩ご飯はいつもよりちょっと豪華にするからさ。

「まあこればっかりは…って、それならもしかしてこの中原さん手作りフルコースをお裾分けしてもらえるパターン…?♪」

ピク、と耳が反応した。

「ああ!?お裾分けって…つっても蝶がギブアップってなったら俺一人でこれ食うのは虚しいにも程が…」

「じゃあ皆で食べうよ、中原さんの女子力フルコース!!」

「これだけあったらちょっとずつ皆食べれるよね!……って蝶ちゃんは!?蝶ちゃんも食べ『いい』え…?」

『いいから…今日お腹空いてないの、もうお腹いっぱいだからさ。中也の料理美味しいから皆気に入ると思うし……ちょっとお腹苦しいから先に教室戻っとくね』

「え、蝶!?お前、今日ついでにケーキも作っ『いいから、本当…ちょっと寝かせて』蝶……っ?」

ユラリと立ち上がって、苦しいお腹を押さえながら教室へと戻っていく。

あーあ、見栄はらずにケーキもらっとけば良かった。
意地はらずに、わがまま言えば良かった。
素直に、私の方向いてよって…今日はいつもより頑張って作ったんだよって。

『………気持ち悪…、』

吐き気を堪えて自分の机に座り、うつ伏せになって寝息を立て始める。
いいよ、丸く収めよう。

あと二時間…家に帰れば、また見てくれる。
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