第17章 0
あれから数日経ち、イリーナ先生はがらりと雰囲気を変えた格好になって教職に復帰。
そして何故だか、朝から中也が一緒に登校している。
一緒にいるのは勿論嬉しいことこの上ないのだけれど、まあ私の中では複雑な気持ちが交錯しているのだ。
今日は中也が来る初日…なのだが。
~ 一時間目 数学 ~
「あ?手前そこ違ぇだろ、俺でも分かんぞそんくらいのもん……ああそこだそこ、二乗が抜けてる。単純な計算ミスだな、慎重にしろよ計算は」
「え……あっ、本当だ!ありがとう中原さん!」
「蝶が世話んなってっからな、いいさこんくらい……おお、合ってる合ってる」
『………カルマ、この授業寝ていいかな?』
「やめといたら?蝶がバックれるとかあのタコ泣くよ?」
〜 気を取り直して二時間目 英語 ~
「え?文法?莉桜も桃花もお手上げって…そんなのあのタコに習いなさいよ、私は実践的な英会話しか…」
「そこ倒置かかってんのが分かりにくいだけじゃねえの?中学生に英語くれえ教えてやれよ先生」
「な……っ、…ってなんであんたが英語意外と出来んのよ!!?」
「マフィアの幹部くれえやってっといるんだよこれくれえ、馬鹿か手前?」
「英語出来るんだ中原さん…」
「か、かっけぇ…」
『………ねえカルマ、寝てもい「ビッチがもっと煩くなるよ?」…イリーナ先生に恨みはない…ね』
〜 今度こそ気を取り直して三時間目 理科 〜
「あ、あれ?ここって確か6で…あれ、3……?」
『!奥田ちゃんが分かんないなんて珍しい…どこが「3で合ってんぞ、組み合わせ考えて計算し直してみろ」
「あ、本当だ!ありがとうございます中原さん!」
「いや、ここの奴らは注意力が問題な奴らが多いみてえだからな。素質はいいもん持ってんだ、冷静に考えりゃ解けんだろ」…』
~ そろそろバックれそうな四時間目 家庭科 ~
「待って、中原さん女子力高くない!?」
「つかどっから持ってきたんだよあんな調味料の数々!!?」
「料理あそこまでできるとかスペック高すぎんだろ……やっぱかっけぇ」
『もういい、サボる』
「え、蝶!!?」
作り終わったからいいでしょ、と完成した料理とレポートを置いて、気配を消したまま外に出た。
屋根の上で寝転がって、初めて自分から行ったサボりに無意識に息を吐く。
『………なんで来たのよ…』