第17章 0
「機嫌直してくれって蝶…さん」
『…やだ、蝶もう中也に顔見せられない。蝶もうだめ、中也に変な子にされちゃった』
「おう、めっちゃ可愛かったっす」
『ま、マフィア脳…ッ!!』
中也のベッドの上で布団を頭からかぶって反論し続ける。
意識が戻ったのはついさっきの事。
中也なんか知らない、中也なんか……
「けどお前俺の事大好きじゃねえか?」
『何か悪いんですか!!?そうよ!!大好きよ!!!それが何か!!?』
「お、おう……お、落ち着け?分かった、辱めたのは悪かった、流石に十五のお前にはやりすぎたとは思って『蝶十五じゃないもん!子供じゃないもん!!!』経験浅いやつが何言ってんだよ、いいから強がってねえでとっとと出てこいそっから!!」
『な……っ、あ、浅くないもん!!中也のせいで浅くなんか「お前の体に負担かけるようなことを俺が四六時中するわけねえだろ、ちったあ考えろ!!俺だってそのへんは大人んなって耐えてんだよ普段!!!」こ、これで少ないの!?……少ないの!!?』
めくるめく恥ずかしい思い出の数々。
「少なくとも多くはねえよ!!……ッ、んでお前は出てこいっつって……!?」
ガバッと中也に布団を剥ぎ取られたところでパチッと目が合い、涙目になっているのを見られてしまった。
それにギョッとして狼狽える中也。
「お、お前なんで泣い…っ、い、痛かったか!?それかやっぱり怖かったか……い、嫌だったか!!?」
『違ッ…、そんなんじゃない……けどっ』
「!……けど?…気にしねえでなんでも言ってみろ?な?」
『ぁ……ッ………、わ、たし…こんな事、なるなんて思ってなく、て…っ…』
恥ずかしさに、そして自分でも思ってなかったほどに良くされて、余計にそれでまた恥ずかしくなって。
自分の口にしていた恋人らしい事をしたいという考えがどれだけ甘くて子供じみたものだったのか、行為が本格的に始まってからよく分かった。
相手は大人の男の人だ。
中也は、大人の男だ。
「…あー……そこはお前が気にすることじゃねえよ、少し俺が調子に乗っただけだ。…お前の言質を取って恥ずかしくさせたら可愛い反応してくれっからさ」
『ひえ!!?』
「そういう事。……まあただ、初な蝶さんにゃ恥ずかしすぎるらしいから…明日でもいいか?」
『!な、にが…っ?』
「恋人らしい事するの」