第17章 0
「中原さん、これを…」
「あ?何を持ってき……!手前、これ俺の…まさかわざわざ洗って持ってきたのか!?」
黒服さんが何人か。
わざわざ拷問室へと持ってきたのは、中也の帽子と外套と上着…それも血の匂いが全くしてはいない。
「わ、我々を庇って中原さんが……これくらいの事しか出来ませんでしたが…ッ」
「いや、部下を庇うくれえ上司の務めだろうが!?なんでそこで感涙してんだ手前、男がそんくらいのことで泣いてんじゃねえ!!」
『……中也やっぱり慕われてるね。ふふっ、私にするみたいによしよししてあげればいいのに』
「んなもんお前限定に決まってんだろ、馬鹿か!?…あーもう分かった分かった、泣け泣け!んでこれからもっと強くなりゃいい!!訓練に励め、以上!!!」
言い切ってから黒服さん達と反対の方向を向いた中也。
ほんのり赤い顔が私には見えた。
「「「は…はい!!!」」」
なんだ、黒服さん達守って怪我なんかしたんだ。
どうりで変な傷の量だと思った。
黒服さん達が頭を下げてからその場を後にして、首領も笑顔で口を開く。
「いやあ、かっこいいねえ中原君。皆の憧れだよ、流石だ」
『嬉しかったんなら素直にありがとうって言えばよかったのに?』
「嬉しくねえよ!!あ、あいつらもこんな気遣いが出来るもんなんだなって考えてただけだっつの!!俺は五大幹部の一人だぞ!!?」
『今度ちゃんとお礼言いなさい、特別幹部からの命令です♪』
「おお、それは守らなくちゃいけないね。ほらほら中原君、上司からの命令だよ?」
ふふ、とニコニコしていると嘘だろ!?というように私の方にガバッと振り向く中也。
しかし私にこういうお礼の気持ちをしっかり教えたのは他の誰でもないこの人だ。
本人が一番よくわかってる。
「……わ、わぁったよ!!!仕方ねえな、クリーニング代くれぇは飲ませてやらねえ事もねえ!!!」
「中原君って本当蝶ちゃん以外にはツンデレだよね」
『可愛いでしょう?意地っ張りなとことか』
「言われてるよ中原君……まあ、何にせよ今回も本当にお疲れ様、蝶ちゃん。ポートマフィアの方も本当に助けられちゃったよ…今度また中原君に強制有給休暇、付けとくね♡」
『!!本当に!!?やったあ!首領大好き!!ありがとう!!!』
「首領!?首領まで蝶を誑かし……って有給!!?いいんすかんな事して!?」