第17章 0
校舎に制服を取りに戻ってから皆解散し、それから私は中也と一緒にポートマフィアの拠点へと戻った。
寝ていた時間もあったせいでお昼を過ぎてしまったのだけれど…多分私が行かなきゃ皆困惑しちゃうだろうから。
「……で、梶井の件だが…」
『中也、梶井さん殺してないよね?連れてって』
「あ?…いいけどお前、拷問室だぞ」
『いいから。拷問する必要も無いよ』
首を傾げる中也に連れて行ってもらい、首領にもついてきてもらった。
拘束されているが恐らく骨がいくつも使い物にならなくなっている梶井さん…その人に近付いて、ねえ、と話しかける。
『貴方、いつからここにいたの?』
「!…まさか負けたのか!?あの人が…そんなはず____!!!」
「「な……ッ!!?」」
首元に少し怪しい部分を見つけて、それを思いっきり引きはがすと中から出てきたのはカイさん。
「ま、待て…手前は牢に入ってるはずじゃ…」
『最初からあっちのカイさんが偽物だったんだよ。こっちが本物…じゃなきゃ、ソラさんのこと狙ったりしない。三人については調べ尽くしてたけど、カイさんの十八番が変装だっていうのは知ってたし…初対面で知らない相手が変装した偽物だなんて、誰も思わないじゃない?』
「そうか、それで背格好も近い梶井君に……!して、梶井君はどうなっているんだい」
『多分どこかに拘束されているんじゃないかと…殺したとは言われませんでしたし、そうなるとこちら側に気付かれる可能性もありましたから、そこまではしていないと思います。迎えに行きますね』
扉を作れば怪しげな研究室の中に繋がっていて、誰かのスーツを着せられた梶井さんが拘束されていた。
成程、彼の研究室の中なのか。
それならば誰も怪しみもしないし、篭って何かを調べているのかと思うことが出来る。
それにしてもよく考えたな、確かに梶井さんなら私ともあまり接触する事は無かったし……中也と一緒にいるだなんてことはザラにある。
とすれば、ケーキに盛られていたあれももしかしたら元は何かの毒だったのかもしれない。
中也の体質が変わっていなかったらあの場でアウトだった可能性だってある。
『…梶井さん寝てますね。後で説明してあげてください、疲れてると思いますから』
「………まさかこんな所にまで手を伸ばされていたとは…死神を語るのもまあ頷けなくはない……な」