第17章 0
『このシャツ…わ、わざわざ持ってきたの……?』
「持ってれば何かあった時の止血用にもなんだろ…とりあえず着てろ。血ついても気にしねえから」
『……うん…』
袖を通せば少しブカブカとした袖が揺れる。
それと一緒に中也の香りがした気がした。
『…えへへ〜、中也とお揃い♪』
「……外套も上着も置いてきちまったからな…って何うれしそうにしてやがんだよ」
『中也と同じだよ?中也のにおいする』
「嗅ぐな…頼む、頼むから嬉しそうにするな……ってお前普段同じ柔軟剤使ってる癖してなんでそんな嬉しそうなんだよ!!!」
『中也のシャツ着るの好き』
「二百点満点だこのやろう…ッ」
よーしよしと親バカの本領を発揮する中也。
周りからも生暖かい目で見られているのだけれど、まあ私も嬉しいしいいや、なんて軽く考える。
するとそこに烏間先生がやって来た。
「…………あの、中原さん…邪魔をしてしまって心もとないんだが…」
「!烏間さん?いいぞ全然、こいつの事可愛がりながらでも話くらい出来…………!?どうしたんだその頬!!?あんたみてえな実力の人間がまたなんでそんな怪我!!」
『あ、それ私がやっちゃったやつ』
「烏間さんに何してんだお前はあああ!!!?」
驚きが大きすぎて大声を上げる中也を落ち着かせに入ったのは、烏間先生の方だった。
「まってくれ中原さん、いいんだこれは…寧ろ感謝している。それにいい勢いのある平手打ちだった、流石は白石さんだ」
『え、待ってなんでちょっと褒めてるんですか烏間先生?』
「いや、こいつの平手打ちは確かに筋が良いが…『いや、だからなんで中也まで褒めてるの』……引っぱたかれてお礼って、話が見えねえんだが?」
中也の声に返すのは他の子達だった。
「音声しか聞いてなかったけど、かっこよかったよね〜♪」
「烏間先生の説教してたはずなのに所々中原さんの事考えてるんだなーって思うような節あったし。本当に中原さん大好きだよな」
「皆スカッとしたけどなあれは。つうかそう考えてみると中原さん本当男前だわ、そんな男気欲しい」
「いや、本当に何があった手前ら…何したんだ蝶」
「俺も中原さんを見習わなければな…中原さん、もしかしたら教師とか向いてるんじゃないか?」
中也と二人で吹き出した。
教えるのとかは確かに上手いけど…教師って……