第17章 0
『……ねえ、皆家の人に連絡は?』
「「「お泊まり会って連絡入れてる…」」」
『E組総出でいきなり家にも帰らずお泊まり会って……ていうか朝なんだから皆そろそろ寝なよ、一応今日お休みだよ?楽しまなきゃいけない日じゃない』
朝…正確には明け方。
皆驚く事に、本当に今の今でも一緒にそのまま私といる。
「休みだからこそだって!」
「オールくらい楽勝楽勝〜、つうか白石母ちゃんみてえだぞ〜」
「あはは、でもどっちかっていうと末っ子っぽくない??」
「「「それは言えてる」」」
なんでよ、なんて苦笑いで反論するも、そろそろ本気で頭がどうにかなってしまいそうだ。
皆だって私のために口にしないだけで薄々思ってる。
このまま来ないんじゃないか、なんて。
私が行った方が早いんじゃないか、なんて。
殺せんせーの作った即席キャンプで一晩過ごした私達だけれど、流石にそろそろ体力的にも精神的にも限界だろう。
特にE組の皆は。
烏間先生や殺せんせーならともかく、だ。
『……?烏間先生、殺せんせーまた何か作りに行ってます?』
砂の音が微かに聞こえたような気がして思わず聞いた。
「…いや、そこでニヤニヤ気持ちの悪い笑みを浮かべているだけだが」
「失礼ですねえ!?もうすぐ日の出が見れるということで、クラスみんなで見る日の出にワクワクしてるだけですよ!!!」
ワクワクしながら砂でもつついていたのだろうか。
「あ、本当だ!ちょっと明るくなってきてるよあの辺!!」
殺せんせーの声につられて日の出だと少し湧き上がる皆。
日の出か、久しく見てないな…あーあ、なんか神々しすぎて今にも中也の幻覚が見えてきそうだ。
蝶、迎えに来たぞっていつもみたいな変に高い調子のノリじゃなくって、ずるいずるいかっこいい微笑みで、私のためだけに来るような…
「蝶」
『…あーやばい、中也の幻覚見えてきたかもしれない。日の出とかのせいでいつにも増して神々し「阿呆、迎えに来たっつってんだろ」い…?………はえ…っ?』
頭に大きな手の感触が伝わって顔を上げると、少しラフな格好をした中也がそこにいて、腰を屈めて私の頭を撫でていた。
『……幻覚?』
「お前は幻覚の方が良かったか?…悪い、ヘマして時間食ってた。遅くな……ッ!」
思わず身体は動いてて、大好きな香りに包まれて…気付けば一番好きな居場所にいた