第17章 0
「…蝶、横浜帰るつもりあるの?なんで早く行かないの?」
『……私はここでもうちょっと死神の様子見てから帰るから。カルマは気にしないで早く「じゃあさっきのあの映像、何」!!!』
カルマの声に周りが一斉にこちらを向く。
『何、って…いいでしょ、別に。とりあえず今回の件が丸く収まったんだから、みんな早く帰りなよ……帰ってよ…っ』
「なんで一人でそうやって抱え込むのさ。行きたいなら早く行けばいいじゃん…なんでじっとしてんの。中也さんが心配なら___」
『心配なんかしてないわよ!!!…っ、変な事言わないで!!約束してるんだから、今日ここに迎えに来るって!!待ってるって!あの人が私との約束破った事なんか一度もないんだから……っ、変な事言わないでよ…』
帰って、と覇気の無い声で絞り出すとカルマは一つ溜息を吐いてから、私の隣で座り込んだ。
『……何してんの』
「…俺も一緒に待っとく。女の子一人でこんな暗い所で一人じゃ危なすぎるし……てか格好的にもちょっとやばいと思うし」
『待たなくていいよ、それに私が弱くない事くらい知って「文句があったら迎えに来た時中也さんに言ってよ。来るのが遅いあの人が悪い」!』
カルマの一声に続くように、今度はカエデちゃんの声が聞こえた。
「はいはい!じゃあ私も一緒に待つ!!中原さん来るの遅いなら、一緒に話してた方が楽しいよ絶対!」
「あ、なら俺も残ろうかな。何より今日一番の功労賞の白石の活躍を中原さんに伝える義務がある」
「ね!烏間先生のほっぺた引っぱたいてお説教してたくらいだもんね!!」
「……なら俺も残ろう、保護者にしっかり安全を伝える義務がある」
倉橋ちゃんのまさかの発言に烏間先生までもがノッてきた。
話についていけずに呆然としていれば、またカルマが私に話しかける。
「座ってなよ、今日蝶ちゃんが一番疲れてんだし…あ、その顔、また何か思ってたでしょ。皆に酷いこと言ったのにーとか考えてそう」
『!な、なんで…』
「いい加減あいつらだって分かってるって。蝶が全力で戦うのに俺らがいたら危ないからでしょ?それに皆蝶の能力色々見れてテンション上がってるし…何より、烏間先生に怒ってくれたの俺達全員スカッとしたんだよ」
まさか引っぱたくとは思わなかったけど、とクスクス笑われて顔が熱くなった。
烏間先生にも頭を下げておいた。