第17章 0
「カ……ッ!?な…っ」
『誰に手出したか分かってんの?……誰に喧嘩売ってんのか、分かってんの…?』
肉弾戦に持ち込もうと向かってくる相手にこちらも全力で対応する。
こんな力の奴相手に、あの人が負ける?
そんなはずない。
今回だって、何か汚い手を使われただけにきまってる。
それに一人じゃ行動はしていないはずだし、何かあっても頼れる誰かがどうにかしてくれているはず。
爆弾騒ぎではこいつの盲点だったのかもしれないが、それによって心強い仲間がそこには集まっているのだから。
死神の攻撃を全て躱して腹部に蹴りを入れれば、少しふらついて後ずさる死神。
「き、貴様…こんなデータ、どこにも……っ、体術は苦手なはず…!!」
『いつのデータか知らないけれど、私が体術が苦手なのは“手加減するのが”苦手なだけよ…周りに人がいない上に被害も考えなくていいような所なら、思いっきりやり合える』
「!!?…っ、が……ぁ、ッ…!!!!」
途端にもがき苦しみ始める死神。
ああいけない、ついつい手癖が。
能力を解除すれば肩で大きく息を整え始め、何が起こったのか分からないといった表情を私に向ける。
「い、まのは…ッ!?な、何故貴様が……!!!」
『知ってるんだ?勉強熱心なのね……じゃあこれも知ってるんじゃなくて?』
「な、にを……ッッ!!!!?」
相手の心臓を止めたり動悸を早めたり…掌の上で転がすように弄ぶ。
ああ、いつぶりだろうかこの感覚は。
『反撃も出来ないの?それだから本物になれないのよ』
「!!……ッああ!!!!」
『!…ふうん、こんな小さな銃……成程、大動脈に亀裂を入れて、そのまま血圧で出血させて殺すって算段?作戦としては満点だけど…今回は零点ね、私相手にそんな事するなんて馬鹿じゃないの?』
「ば、馬鹿な…っ、何故だ!?何故なんとも無い!!?」
確かに傷は…っ、と焦る死神の足元を凍らせて、近づいていって既にはだけかけた胸元を見せる。
『傷?ごめんなさい、傷がどこにあるのか私には分からないわ…… 』
「……こ、れじゃあまるで…嘘だろ、死んだはずじゃ…!?それにどうしてこんなところにいる!?何故子供になって…!!!」
『それ以上は口にしない方が身のためよ』
「何故だ!!?何故こんなところにぜ____…」
言い切られる前に全身を凍りつかせた。