第17章 0
死神の話によれば、このアジトと地下水道とが繋がれており、水を流して生徒ごと暗殺してしまおうという算段らしい。
しかし、あいつは恐らく分かっていない。
皆をここに縛り付けておくための首の爆弾なんて、私には意味が無いものだということを。
「で、そこでなんだが……白石さん、君に厄介に動かれちゃあ俺も困るからね?これをつけてくれないかい?」
『…首輪?そんなもの出されて素直に頷くわけないでしょう?』
「付けなければこの場で全員の首輪を爆破すると言ったら?」
『………付ければ良いのね?』
どよめきが広がるが、皆の方が優先だ。
今すぐ爆弾を消してしまってもいいのだけれど、なんだか皆も企んでいそうな気配がするし…手の内はあまり明かさない方がいいに決まってる。
「そう。いい子だねえ意外にも…もっと反抗的な子かと思ってたけど大人の取引が出来そうじゃないか、頭のいい子だ。それだけ素直に従ってくれていれば、中原中也に手を出さずに済みそうだよ」
首輪をつけ終えたと同時に紡がれた言葉に、ギロリと鋭い視線を死神に向ける。
『…何ですって……?』
「ふふ、君は不思議に思わなかったのかい?誰がいつ、あんなに好きの少ない男の食べ物に毒を盛ったのか…俺はね、ちゃんと手を打ってあるんだよ。君が下手に動かないように」
『何…どういう……』
「梶井基次郎君…いるだろう?彼がいつから入れ替わっていたか、気付いているかい?」
『!!!貴方まさかッ…予定変更よ、こんなもの大人しく付けてあげる義理なんか無いわ!!とっとと外し____』
指で触れようとした瞬間に死神に手で制された。
「君、その首輪が何だか分からないのかい?君の大好きな首輪じゃないか…電気が流れるあれを、俺も特注で作ったんだよ」
『!……ハッタリでしょ?どうして電気が流れるの?』
「君の神経の僅かな動きをキャッチするように作られている。殺意を溢れさせただけでも『なんだ、そんな事…で、その首輪が今貴方についてるんだけれど…大丈夫なのかしら?』!!!」
「え…っ、え!!?」
私の首から死神の首元へと移動させたその首輪。
どうやら電気が流れるらしい。
しかし構造はやはりあの男の作ったものとは違うらしく、能力を使ったところで電流は流れはしないのだ。
『殺意なんて抑えるのがプロでしょう?電流はお好きかしら』