第17章 0
しかしここで、私はある事に気が付いた。
『……そうだ、とっとと爆発させちゃえばいいんだ』
「え……は!?おいおい蝶!?慌てすぎて血迷ったか遂に!!?」
「蝶ちゃん、一応俺達本国の方にも家族が…」
「黙るんだトウェイン君、ミス白石が考えなしに爆破などするはずがなかろう……考え、はあるよな?」
フランシスさんまでもが微妙な顔をする。
しかし私の考えが分かったのか、中也はそうか、と口にした。
『ちょっとビックリさせちゃうかもしれないけど我慢しててね!!』
探偵社の事務室の内側、そしてこの場にいる全員の身体に壁で幕を張る。
これはあくまでも保険だ。
中也は多分“全部”分かってる。
解析なんかしなくてもいい。
だって、私は今十五歳なんだから。
しかしそれでも怖いものは怖いので、不意に中也の爆弾に手をかけた。
それから祈るように身体を強ばらせながら、中也の服に取り付けられた爆弾を“消滅させた”。
それと同時に爆弾のプログラムから、センサー機能とネットワーク機能を消滅させる。
「!大丈夫だ蝶、多分出来てる!!失敗してもお前の防御癖がこんなもんに負けはしねえ…全部消しちまえ!!」
『!うん…ッ』
順番に、一つ一つ丁寧に消滅させていく。
私のこの能力を知らなかった中也以外の皆は目を見開いてはいたけれど、それでも騒ぐようなことはなく、作業に集中させてもらえた。
中也に無意識に手を伸ばしたのはきっと自信がなかったから。
一人じゃ、なんにも出来ないから。
「あー、死ぬかと思った…とりあえずおばさん達は探偵社に避難してもらっておこう。蝶ちゃん、君はこれからどうするんだい?」
おばさん達に客間に移ってもらってから、全員がまだ帰らない内に太宰さんがそう口にする。
『ごめん…巻き込んで。私まだ行かなきゃいけな「どこにだよ」!…死神、のとこ』
「「「!!!」」」
『………イリーナ先生が人質にとられてるの。それに多分、皆も捕まって…殺せんせーを暗殺するための人質にされる。皆が勝てるような相手じゃない…とりあえず、私がなんとか…』
「…………私達は行かない方が良さそうかい」
太宰さんの冷静な声にコク、と首を縦に振った。
するとそれに反論する国木田さんや敦さんに立原。
なんで一人で行かせるんだよ
……なんて嬉しい事を言ってくれるんだろう。