第17章 0
情けない、結局一人じゃなんにも出来ない。
走って走って、山の麓まで一気に駆け抜けた。
そこからまずは探偵社へ移動して、事務所の中に全員が揃っている事を確認する。
「ええ!?蝶ちゃん!!?さっき学校行ったんじゃ…」
『ごめんなさい!!後で説明するからちょっとだけ我慢してて…っ、ごめんなさい……!!』
「えっ、なんで謝っ…!?凍っ……蝶ちゃん!?」
驚きの声を上げる谷崎さんと太宰さん。
声になっていないだけで他も皆動揺してる。
全員の身体を最小限に能力を使って、動けないようにしたのだ。
勘が鋭い人が多いから、一番最初に外されてしまうかもしれなかったから。
きっとあいつは今もこの様子をモニターしてるから、下手に手の内は明かせない。
そっちを気にしつつ早く行動しなくちゃいけない。
『ごめんなさい!すぐに戻るからお願い、動かないで!!!』
「ちょっ、白石!待____ッ」
国木田さんの声を無視して次に移動したのは芥川さんのところ。
壊される危険性のあるところから移動して、それから無理矢理身体の動きを制限して探偵社の事務室に移動して…
芥川さんまではよかった。
広津さんに立原の所に行った時は任務の真っ最中で、危ない所に入ってしまって結局能力で無理矢理私が仕事を終わらせて移動させ……中也に関しては予想していなかった程の人数を相手する羽目になってしまって、そこもなんとか片付けて探偵社に連れていった。
最後に喫茶店のオーナー夫婦に頭を下げてから探偵社まで来てもらって、ようやく全員が一箇所に集まれた頃にはもう辺りは暗くなりかけていて。
「おい、蝶!なんでおばさん達まで連れてきてんだよ!?」
『黙って立原、いまから解析するから!』
「解析!?解析って何の解析を……ッ!?なんだ、これ…」
皆の懐を漁っていけば、バッジ型の超小型高性能爆弾がとめられている。
厄介だ、こんな形の爆弾だったなんて…
『……っ、理由は後で説明するから、とりあえず集中させて下さい』
自身のパソコンに接続して、独自の方法で爆弾の解析を進めていく。
この世界においてはなかなかに複雑で手のこった造りだ。
「!蝶ちゃん、これはあれかい?まさかとは思うが、死が『おばさん達がいる所でその話しないで太宰さん』…そうだね」
これを失敗したら皆爆発に巻き込まれちゃう…それに、イリーナ先生も……