第17章 0
死神が律に画像を送ったらしく、それを表示するように指示を出す。
それに従って律が映し出した画像には、手足と口を使えないよう拘束されたイリーナ先生が映っていた。
『……私を先に潰しておかなくて良かったの?わざわざ目の前なんかに現れてさぁ…今すぐここで殺されるって選択肢は考えなかったわけ?』
「それについてはどうしようもなかったんだよ、何せ君は年の割に頭が良すぎるからね…だから、こういう手段を選ばざるを得なかった」
すっごく準備するの大変だったんだよ?という死神にまたもや指示されて律が映し出したのは、今度は画像ではなく映像。
そこに映ったのは先程のように一人という訳ではなく、私の知人が何人も映し出されていた。
中也は勿論のこと、立原に広津さん、芥川さん、探偵社なんかじゃ太宰さんに谷崎さん、国木田さん、敦さんに鏡花ちゃん……それだけじゃない。
トウェインさんやフランシスさんに至るまで、私の大事な人達に“何か”が取り付けられている。
それも映像はリアルタイムのものらしく、気付いているような素振りも周りが気づく様子もない。
『…これは?』
「爆弾さ、それもとびっきりの。全員に仕掛けるのに苦労したよ本当…手っ取り早く説明しておくと、今日中にこれらを外さなければ爆発して終わりってわけなんだけど……これ、一つ外したら他が全部一斉に爆破する仕組みになってるから」
『!……それで私を足止めしようって魂胆?でも生憎、探偵社もポートマフィアも組合も、そんな弱い集まりじゃない。すぐに解決して___』
強気でいられたのはその時までだった。
だって、映像の端に見つけてしまったから。
大好きな喫茶店のオーナー夫婦の姿を。
「気付いた?ははっ、良かった、ちゃんと見つけられたみたいで。気付かなかったら君のせいでその夫婦は死亡確定だったね?まあ、誰を助けるのかは君次第って所なんだけど……ああ、今すぐここで俺を殺しでもすればすぐに爆発するからね?」
『…っ、とっととイリーナ先生の居場所を言いなさいよ』
「それはダメだ、君が来てしまっちゃあ予定が狂う可能性がある。君が爆弾を解除しにここを出ない限り、俺は一切の情報を喋らない」
「「「な……ッ!!?」」」
勿論君達から伝えるのも禁止だよ、と軽い口調が響く。
「それとも、今すぐ映像の向こう側で殺してほしいのかい?」