第17章 0
『なんでここ最近こんなに探偵社に依頼殺到してるかな…成績下がったら仕事押し付けてくる太宰さんのせいにしてやる』
「とか言いつつ健気に勉強してるから誰も敵わないんだよね〜」
『……ねえ、皆してさあ?最近私に隠し事してない?』
松方さんとの騒動から少し経って、ちょこちょこ私が学校から離れてる内に何かこそこそしている気がする。
というか、決定的な違いが一つ。
『イリーナ先生がもう三日も来てないとか有り得ないでしょ』
「「「ご最もです…!!!」」」
クラス全員が一斉に反応して口にした。
あーあー、何かまたやらかしたのかなこれは。
なんて思っていたのも最初のうちで、よくよく話を聞いていってみればどうやらそういうわけでもないらしい。
『あー、誕生日プレゼントね…烏間先生真面目な人だからなぁ…』
「もう少しくらい優しくてもいいと思うんだけど…」
『まあでも確かに烏間先生の言うことも一理あるんだよね……ちょっと私探してこようか?』
「え?探すって、どうやっ____『!!教室の隅に寄って!!!』蝶ちゃん!!?」
突然嫌な空気が背中を掠めて、咄嗟に皆を押して無理矢理教室の後ろの隅に押し寄せた。
と同時に教卓側の戸が開かれ、中に一人の若い男の人が入ってくる。
「ん?なんで皆してそんなに後ろに…!そうか、君か…君と会うのは初めましてだね?」
「あ、そうだそうだ、蝶ちゃんは確か花屋のお兄さんに会うのが初め……!!?」
『いいから、気だけ抜かずに後ろにいて!!』
「怖いなあ、そんなにいきり立っちゃって…警戒しすぎじゃないか?俺はただ普通に『惚けないで、あんたの正体はもう私は分かってんのよ。ここで何かするつもりなら私はあんたを殺す許可だっておりてるんだから、言動には気を付けることね』!俺の正体だって?」
突然、なんの違和感もなしに教室の中に溶け込むように入ってきたその人物に、得体の知れぬ焦りを覚える皆。
まさか私が無事な時点で動き始めるだなんて。
『そうよ、散々人にちょっかい出しておいてまだ惚けるの…?死神、でいいんでしたっけ?』
「え、死神って…!」
「流石は武装探偵社の優等生、元ポートマフィアの特別幹部だっただけはある…でもいいのかい?武装探偵社の社員が人を殺したりなんかして」
『人の身内に手出しといて善人ぶってるんじゃないわよ』