第16章 力の使い方
『ン、ぁ……れ…っ!!?ぇ、ッ!?な、な…っ!!?』
「あ?…どうしたよ朝から突然…もう少し寝かせろっつの…」
『ど、どうし…ッ!?ち、中也さん服!!服!!!は、恥ずかしいから早く何か着て下さ「お前に着せてっからめんどくせえ、耐えろ」な、なんで私がまた中也さんの着て…!?』
「ん?……ってお前…そうか、酔ってた間の記憶はなしか………あーあー、昨日はあんなに中也中也って可愛かったのになァ?お前」
『ふえ!!?私また酔って……っ、な、何しでかしてた!!?私中也さんにまで何か「中也」…ち、中也に何か…ッ!?』
ガバッと起き上がろうとしたが、それは叶わずすぐにベッドに蹲るように倒れ込む。
あれ、しかもここ私のベッドだ。
なんでこんな所で…
『い、たぃ…ッ……な、にこれ…』
「……もう一回してやりゃ思い出すか?」
『もう一回って何を!!?』
「おまっ…なんでそんなに純粋なんだよ……くそ、可愛い……………前お前が俺のシャツ着せられてた時、何してたか思い出してみろ」
中也に言われた通りに思い出していけば、段々と何があったのか想像がついて、顔を熱くさせてそれを隠すように抱きついた。
『……っ、ぁ……っ、ぅあ…』
「やっぱお前はこんくらいのほうが可愛いか?…大人な蝶さんでも俺は全然構わねえが…………腰は?まだ痛ぇだろ、慣れてはねえんだから」
『…ちょっとだけ』
「嘘吐け、俺に気ィ遣うな阿呆。もう少し余裕がありゃあ俺も多少はマシにしてやれたかもしれねえが…お前本当酒にやられるよな。俺より弱いんじゃねえか?」
『……!だ、太宰さんが私のジュースとすり替えてたんだもん!!私のせいじゃ…』
「あとお前、いつもの如く抱きついてんのはいいが……まさか朝っぱらから誘ってやがるんすか?」
中也の言葉にへ?と間抜けな声をだしてそちらを向けば中也と目が合って、それから頭をポンポンと撫でて呆れたような、困ったような、可愛がられているような優しい目で微笑まれた。
それにドキリと胸が高鳴る。
『…かっこい……』
「……口に出てますが」
『へ……ッ!!?ち、違っ…中也がその顔するからっ!!』
「へ〜、何お前そんなに俺の事好きなのか。知ってた」
『知ってたんなら言わな……!!ば、馬鹿!!!馬鹿中也!!!…っ手離してよ恥ずかしいからああ!!!!』