第16章 力の使い方
「えっと、蝶さん?」
『ん…』
「そろそろ俺の方のベッドに行きませんかね?こっちそこまで幅がねえから、大の大人の男にはキツイもんが…」
『………今日こっちで寝る』
「は…、あ?な、なんでこっちで…あ、ああ、それなら俺ソファー持って____」
中也の服の裾をキュ、と引っ張って、ダメだと小さく口にする。
『こっち、広くない…から……ぎゅーってしたまま寝るの。いつもよりいっぱいぎゅうってするの』
「お前眠たくなってもそこまで普段いわねえよな!?……ってそうかお前酔って…!!!」
『ダメ…?中也さんと寝た「…中也な」!…中也……中也といつもより一緒にいるの。いつもよりもっと一緒にいるの』
中也の身体に腕を大きく回して、そのまま横を向いて中也を隣に横にする。
すると肩に両手を置かれて、中也が少し私と距離をとった。
「……ッ、はぁ…蝶?お前な、さっき散々俺にああいう事されたばかりだろ?考えてみろ、お前も薄々気付いてんだろ…俺だってな、男なんだぞ」
『…でもいつも寝てるじゃない』
「いつも我慢してんだよ、気付け…お前は可愛いんだからもう少し自覚を…っ!?」
吸い付くように短く口付けをしてから、すぐに唇を離して中也の胸に顔を埋めた。
『………もっと中也に可愛いって思われたい…言われるのは恥ずかしい、からあれだけど…私の事で頭いっぱいになっちゃえばいいの』
「………………そしたら俺、多分我慢効かなくなって今までみてえにお前の事だけ考えてって出来なくなるかもしれねえけど?」
『…私にだけ強引な中也、嫌いじゃな____ッ!?…ン…っ、ぁ……』
頬に手を添えられたかと思いきやそこから指でスウッと首筋をなぞられて、ピクピクと小刻みに全身が反応する。
「言ったからなお前、後悔すんなよ…泣いたら流石にやめてやりはするだろうが、構ってる余裕多分ねえぞ」
『ぁ、ッ…首ばっか触らな……ッあ…っん…』
「……既に話聞く余裕ねえ奴がなんでんな口叩けっかな…ったく………舌出せ、舌…もっと。…………そう」
首筋ばかりを撫でていた指が耳に触れたり項をなぞったり。
中也の指示にしたがって舌を出せば、いい子だと言うようにもう片方の手で顎を持たれてそのまま深くキスをされた。
それと一緒に耳や首への愛撫が私の身体を高鳴らせていって、あっという間に私の身体は敏感になった。