第3章 新しい仲間と新しい敵と…ⅰ
『ちょ、中也さん、分かったからそんなに強く撫でなっ…あああ頭が凄い振動するっ…』
焦った、俺が首領から頼まれてる事知ってんのかと思った。
絶対こいつにバラしたくねえ…
「大体なぁ、さっきから言ってるが、なんで俺がそんな変態みたいなことばっかしなくちゃなんねえんだよ!するわけねえだろ!?」
すまん蝶。
物凄くしてた、首領命令という形を取られているから仕方なかったとはいえ、物凄くやってる、本当にすまん。
しかしよくよく考えてみれば、さっきこいつが言っていたように俺が知ってる蝶の……悔しい事に生態や分析結果と言わざるを得ない情報の数を考えると、本当に図鑑なんて頭の中に出来ちまいそうだ。
『中也さんは私にそんな酷いことしないもんね、分かってるよ。だからお願い、痛く撫でないで…まあ中也さんがそういう趣味だったとしても私は全然構わないけど』
何つーことを言いやがるんだこの少女は。
てかそういう趣味って何だ、図鑑うんたらかんたらの話か!?それとも痛く撫でる事か!?
ん、痛く撫でる?
「ち、蝶、痛かったか!?すまん、つい力んじまって!!」
最初こいつの発言についつい嬉しくなっていっぱい撫でてたものの、痛くなっていたとは。
すぐに蝶から手を離した。
そこまではよかった。
『あっ……やめちゃうの?中也さん』
なんて言いつつ、心の底から物足りなさそうな、切なそうな顔を俺に向けてくる蝶。
何だよこいつ、可愛すぎか。
「やっ、やめねえよ!」
くそ、照れる。
『わわわっ、中也さん!?…ふふっ』
力まねえよう気をつけながらいっぱい撫でてやってると、なんともまあ嬉しそうな表情を浮かべてやがる。
そしてまた、俺の気なんて知りもせずにご満悦な様子のこの少女に癒されている俺がいる。
やべえぞ、これじゃ本当にこいつが愛玩動物みてえじゃねえか。
そこまで考えてふと気がついた。
あれ、俺もしかして普段から愛玩動物みてえな扱いしてたりするんじゃねえか?
先程自分で変態だの散々な事を言ってはいたが、その実俺ってどうなんだ。
なんて一人頭を抱えていると、突然声が響いた。
「君達本当に仲良しだねぇ、仲が良すぎて僕ちょっと寂しいよ」
『あ、首領』
「えっ…こ、これはそのっ」
見られた。
「いやいやいいんだよ、僕はそろそろかなと思って、処置をしに来ただけだから。」