第16章 力の使い方
せめて十六…私が今こんな年齢じゃ無かったら、法的にも大丈夫だったはずなのに。
ああ、この考えは出しちゃだめだ、中也に気付かれてしまうじゃないか。
『…うん、結婚出来たらなあって思ってるよ、その人と』
「結婚…!!お姉ちゃんドレス似合いそう!絶対可愛いよ!!」
『そう…?……それならいいなぁ…ありがとう』
微笑みながら言えば何故か皆ぼうっとしたように私を見る。
変に思われちゃったかな。
……また、着れるのかな、私は。
真っ白な、あんなドレスを。
「…ほらほら、お姉ちゃん今からまたお仕事あるからバイバイね〜」
『え、カルマ…?』
「とりあえずここは他の奴らに任せて戻ろ?」
『……うん』
正直に言って助かった。
子供の遊びにも疎い私が皆の要望に応えるためには、頭を悩ませなければならなかったから。
外での遊びも中での遊びも、知っていただけで見たことも経験したこともなかったもの…それに、全く知らないものまでも。
ああいう遊びを経て大人になっていくのかなあ、なんて。
「………大丈夫?何か変に考え込んでない?」
『大丈夫…けど、やっぱり私は裏方に回る事にするよ。普通の子供の遊びとか、私には全然分からないから…正直要望に応えられない気がして申しわけないし』
「そう…でも驚いたよ。蝶って子供が嫌いだったり苦手だったりするのかと思ってたから」
『!私が?そんな事ないよ。ただ、やっぱり色々感じちゃうところはある…から、あんまり一緒にはいたくないのが本音かな』
「それで料理とかの方に回ってたんだ?どうりで……大丈夫だよ、中也さんいなくても、ここにはちゃんと俺や皆がいるから。何でも言ってくれて構わないからね」
『なあんか私が面倒見られてるなぁ…ありがとう』
いえいえ、とよしよしされて、少し首を傾げてカルマを見る。
どうしたの急に?と聞けば、なんとなくしたくなったと曖昧に返された。
『カルマって意外と面倒見良いよね?』
「そう?」
『うん、なんていうか色んなところまで頭まわりそう…裏から大事な指揮とか執って大事な仕事とかするのに向いてそうね』
「…蝶ちゃん実は大人?って思うことあるんだけど?」
『ふふっ、あながち間違いじゃないかもよ。なんなら将来就職したら、武装探偵社ご贔屓してよ♪』
「ばっちりセールスしていくんだそこ?用意周到だねえ」