第3章 新しい仲間と新しい敵と…ⅰ
「何でお前はそう考え込むかな…一緒にいたいと思う奴を助けられるんなら、どんな事だって喜んでするさ。それが俺にしか出来ねえ事なら尚更だ。」
中也さんの暖かい言葉が、血液にのって私の体に入ってくる。
暖かい、気持ちがいいくらいに暖かい。
『辛く、ないの?』
「…お前、もしも俺が今死にそうになったとして、自分が助ける手段を持っているとしたらどうする?」
中也さんが、死ぬ?
そんな事、考えたくない。
やだ、ずっと一緒にいたいのに。
『やだ、っ…離れたくない、助けたいっ』
「そうか、それは嬉しいな!…それと一緒だよ」
同じ。
中也さんも、同じ。
「変なところで俺に気遣うからなお前は。俺は嫌なことはしねえ主義だ、知ってんだろ?強がらなくていいから、俺はちゃんとお前の事分かってるから…一緒にいたいと思ってるから。蝶に何も頼ってもらえねえ事の方が、輸血なんかよりよっぽど辛えよ」
『辛い、?私、中也さんに辛くさせてた?ごめんなさい、ごめんなさい、っ…』
私が頼らないのが、貴方にとって辛い事なのなら。
私はどれだけの苦痛を貴方に与えていたのだろうか。
中也さんの方を向いて、ただただ謝った。
「お、やっとこっち向いたな…それと、俺お前に謝られんのも辛いんだわ。折角輸血中にお互い意識があるんだから、ごめんなさいなんかよりも聞きたい言葉があるんだが?」
顔をあげて中也さんを見ると、困ったような顔で、笑ってた。
そんな顔にさえ、私の胸は高鳴ってしまう。
『ぁ、…ありがとう、ございます』
なんだか見ているのも恥ずかしくて、また俯いてしまう。
「いいってことだ、お前の助けになれたんだからな!」
中也さんが、針を刺していない方の腕で私の頭を撫でてくれた。
……首領め、わざと寝台が二つ近くに並んでるところに寝かせたな。
でも今だけは、そんなちょっとした首領のお節介に感謝しておこう。
『…うん、……うん、』
「本当、俺の前じゃ泣き虫だなあ…意地ばっか張って強がってっからすぐそうなる。しかもその実結構素直に全部白状する」
『…中也さん、私の説明書みたい。頭の中に私の図鑑みたいなの入ってそ……イタタタ、ちょ、中也さんイタッ…ごめんなさいぃっ』
冗談だったのに、無言で頭を撫でる手に少し力が入った。
『今回のごめんなさいは辛くないんだ』
「俺を何だと思ってやがる」