第15章 大切な人
「お前は俺の妹だ…まずは俺を呼んでみろ」
寝台に座る兄に、床に座った状態で言われた通りに従ってみる。
確か、以前親戚か誰かの声が聞こえた時にこんな事を言っていたような気がした。
『…お兄、ちゃん……?』
「ああ…ダメだなあ、なんでそんな事も分からないんだ?お前は」
『え…ぁ、ごめんなさ……ッッ』
一度酷く大きな音を立てて頬を叩かれ、それから兄は私の熱くなった頬に手を添えて、顔を上に向けさせた。
「んん?…ああ、お前は頭が悪いから知らなかったんだな、じゃないとそんな事言わないもんな?敬うべき相手にはだな、様って付けるのが常識だぞ」
『…お兄……様……?』
「そうだ、やれば出来るじゃないか。いい子だぞ」
初めて優しく触れられた。
頭にこんな風に、誰かの手が優しく乗ったのは初めてだった。
初めて撫でられるということを知った。
初めて、いい子だって言ってもらえた。
それがこんなにも私を満たすものだなんて。
こんな気持ち、初めてだ。
「じゃあ次はだな…こっちに来てみろ」
離された手のぬくもりが忘れられない内に、次の課題が言い渡される。
言われた通りに寝台に登れば兄…改めお兄様は仰向けに寝て、上から覆いかぶさってこいと言ったのだ。
それにその通りに従えば、彼は私の頭をまた撫でて言う。
「そう、いい子だぞ……って何だ?照れてるのか?可愛い奴め」
『照れ……ッ?』
「ふふ、分からないならいい…じゃあ、少し驚くかもしれないが出来るだけ暴れないように…出来るね?」
明らかに口調の変わったお兄様の言葉にはい、と頷きながらも、誰かに触れられるのも初めての事で、こんなに近くにいるのが恥ずかしくて新鮮でたまらなかった。
だから次の動きは全く予想していたものでは無かったため、少しビックリしてしまったのだ。
『……ッひゃ…ああっっ!!?お、に…さまッぁ…な、にを……っ!!!』
敗れていた衣服はほとんど意味を成してはおらず、そのまま素肌に触れてしまう所も多かった。
そういう所の一部だったのだろう。
まだ成長もしていなかった小さな胸に手で直接触れられて、何と形容すればいいのかも分からなかったような感覚が全身を走り抜けたのだ。
ビクン、ビクンと体が跳ねると、お兄様の手は私の着ていた布を剥ぎ取り、そのまま未発達だった胸の頂をレロ、と舌で舐め始めた。