第15章 大切な人
どうしていい子に生まれなかったの?
ごめんなさい、分からないの
どうしてそんな子に育ったの?
…ごめんなさい、それも分からないの
どうして?どうしてそんなに悪い子なの?
いい子にしてるつもりだよ。泣かないようにもしてる…前に煩いって言ったじゃない。ちゃんと言いつけ守ってる。
なんとか言ったらどうなのよ、本当に気味の悪い子。
私の声が嫌なんでしょ、だからああしたんでしょ…覚えてないの?
ああいけない、そんな事を考えちゃ。だから私は悪い子なんだ。
その目…その目でこっちを見ないでちょうだい。
目が嫌だからこうされたのに、まだ私は悪い子なの?まだ、足りないの?
こっちにその綺麗な顔を向けないで…気持ち悪い。
綺麗な顔は気持ち悪い…そういうものなんだ。綺麗なのに、気持ち悪いんだ。ああ、また悪いところだ…でもどうすれば変えられる?顔なんて。
____綺麗な顔もこん時ばかりはいいもんだなぁ?…ああ、声は出すなよ。バレると色々面倒でな……そうだお前はそれでいい。
___こうする時はいい子だな、褒めてやる…可愛い俺の_______
『やめ_______ッッッ!!!!?』
「!!!蝶っ!!?」
『離し…ッ、やめッッ…』
「!?落ち着け、俺だ!!お前が倒れててそれで…」
『ごめんなさい…!!!ごめんなさい!!!!何でもします…っ、いい子にします…から……ッ!!!!』
「蝶!?お前何が…ッ、首領!!!」
怖い、嫌だ、嫌だ嫌だ、そんなの嫌だ。
私に触らないで、お願いだから。
お願いします
いい子にします
捨てないでください
触らないでください
一人で何でもします
一人ででも生きれます
痛いのも嫌
気持ち悪いのも嫌
綺麗って言われるのも嫌
可愛いって言われるのも嫌
全部全部嫌だった
全部全部、怖かった
だけど私はいい子にしなくちゃいけないから
「蝶ちゃん!!!僕が分かるかい!?ここがどこか、落ち着いてよく考えるんだ!!!!」
『…ッ!!触らないで…!!!』
私の腕に触れるその手に対抗するのは何故だか簡単で
「蝶ちゃん!?」
「蝶、お前首領相手に何を…ッ」
『!!!!ぁ…ごめ、なさ……ッッ…叩かない、で…っ、大人しくする…しま、すから……ッ!!!いい子にするから…っ、お兄ちゃ___!!!!』
お兄ちゃん…お兄ちゃんが、今どこにいる?