第15章 大切な人
予想以上に平和に終わった首領との話。
それからまた例の如く、スイーツバイキングに来たわけなのだが。
「ま、まさか今日出会えるなんて思ってもみなかった!これは!!?」
「ちょっと、次こっちなんだから!…あ~実際に見たらこんなに可愛い子だったなんて♡美味しい?美味しい??」
『お、美味し…「「「「ああああ可愛いいい!!!♡♡♡」」」」……あ、の…う、嬉しいんですけどそろそろいい、ですか?』
デザートを取りに来た瞬間にこれだ。
しかも何人か見たことある人いるし。
早速お姉さま方に餌付け囲みをされながら出来るだけ答えていくのだけれど、やはりというかなんというか…終わりが見えない。
遂に断りを入れてみるのだけれど、それもそれであまり効果は無さそうに見えるし。
『つ、連れがい「アイスもあるわよ♪」…あ、美味し』
何より差し出されたら食べちゃうし。
美味しいし。
甘いし。
『…!じゃなかった、私今日連れも「あとちょっとでいいから、ほらこれも♪」ん…あ、これ好き』
言った直後に気が付いた。
やらかした。
「もっと食べる!?食べるわよね!!」
「こっちにもそれあるわよ!はい、あーん♡」
「まだまだあるから遠慮なく食べて♡」
皆々様からモンブランのミニケーキを差し出され、後悔した。
迂闊な事を喋るべきではない。
…まあ、しかし二回目ともなれば慣れてしまったのか何なのか。
チラリとたまに見える黒い帽子は遠くにあって。
席に座ったままなんだろうな…そりゃあそうか、貴重品もあるし、何より前とほとんど同じ状況だし。
でもやっぱり気付いてないんだろうな、私の近くで餌付けをしてない女の人達、皆そっち見てるってこと。
気付いてないんだろうな…それが嫌だったから、格好よくしないでって言ったってこと。
結局何着ても格好いいし、センスいいから仕方ないのかもしれないけれど。
独占欲って、あるじゃないですか。
…私だって一応女の子だもん。
____嫉妬したって、いいじゃない。
少し俯いて差し出されるケーキをどこか遠くに感じ始めた頃の事。
「お姉さんらこれ何の騒ぎで…餓鬼?ってあれか、白石蝶か!うわっ、本物いるぞ!」
「え、ケーキ出したら食ってくれんの!?俺のも食ってよ♪」
カップルで来てるような男の人。
彼女さんらしき二人の女の人はそれを面白そうに見ていた。