第15章 大切な人
「少なくともお前の事を知ってるここの奴らは皆口を揃えてそう言うぞ?お前は知らねえだけであの立原でも」
『立原が…?……そ…でも立原ってほら、中也と一緒で頭おかしいからさ』
「…要するに蝶ちゃん、中原君が他の女性から“そういう目”で見られるのが嫌なんだって事だよね?」
首領の声に目を丸くしてから、そちらを向いてまたコクリと首を縦に振る。
また今日もえらく素直だな、と中也にも首領にも驚かれる。
「そんなに気にしなくても大丈夫だよ、中原君、驚く程蝶ちゃん以外の女性に興味無いから」
ね?と中也に話を振る首領。
それにえっ、少し動揺したような声を出してから、中也は私を少し見てからまた口を開く。
「………俺がそういう普通の奴に見えるか?」
『!…ううん、中也世界で一番頭おかしい変な人だもん』
「うぐッ…そ、そうだ、分かったならい………腑に落ちねえ…!!」
「逆ナンされても声すら届いてなかったって聞いたよ?僕。本当、蝶ちゃん以外の女性に対して対応が違いすぎるよね」
「い、いや別にそんな風に接してるつもりは…」
私だってこれだけ生きていれば、相手が嘘をついているかとか、そういった事は容易く見破れる。
そして今、この人は本音を漏らしているだけ…つまりは本当にそうしているつもりもないのだろう。
それすら、ないのだろう。
「それ、もう根本的に蝶ちゃんしか見えてないって感じだよね」
「まあそりゃあ…」
『………も、もうこの話いい…!…た、食べ放題行こうよ食べ放題!ケーキいっぱい食べるの!安全なやつ!!』
「安全なやつって…え、中原君?まさか君本当に誕生日ケーキに盛っちゃったの?」
「保管してる時に梶井の野郎が入れたんですよ!!俺がこいつにんな事するわけがねえでしょう!!?」
焦りすぎて敬語がぐちゃぐちゃになってる。
もう犯人は梶井さんで決定なんだ、バレちゃってるよ梶井さん。
「ま、まあそうか…でももう効果は消えてるみたいだね?聞いた話によればあれ、かなりの時間効果が続くものだったはずだよ」
『私は能力で…』
「俺は……俺も多分蝶の能力だな」
何故だか腑に落ちた。
そっか、まあ私の体質が少し移ってたり私に色々触れたりしてたせいっていう線もある。
「まあ健康なら何よりだよ。二人共顔を見せに来てくれてありがとうね…蝶ちゃん、お誕生日おめでとう!」