第15章 大切な人
「ほう、それで二人共私服で…グッジョブ中原君、蝶ちゃん可愛い写真撮らせ『嫌』蝶ちゃあん……!!!」
『なんでそんな事しないといけないんですか』
「十五歳になりたての蝶ちゃんをカメラに収め『セクハラで訴えますよ』せ、セクハラは厳しい…ッ」
「やめてやれよ首領イジメは」
『嫌だ、だってこの人さっきから私のこと中也から離そうとばっかりするんだもん』
してねえよな!!?という中也の全力の驚きに首領がブワッと目に涙を溜め……ていたのを溢れさせた。
『してるもん。蝶ここじゃなきゃ嫌』
ここに来るまで離れることなく中也にくっついて来たんだから。
意地でも離れてなんてやるものか。
「じゃあ中原君と一緒でもいいからさあ!?」
『…………やだ』
「今一瞬迷ったよなお前?あ?」
『いひゃ…ッ、む…』
ほっぺたを軽く摘まれ、プニプニと引っ張られる。
突っ込みのスキル上がった?
やけに鋭い。
何も言い返さずに下を向けば中也に手を離されて、それからどうしてなのか理由を尋ねられる。
聞かれる程の事じゃないし。
ていうか昨日撮ったし…撮られたし。
『………かっこいい格好しないでって言ったのにしてくるし』
「何だよそれ?俺がそういう格好してるってのか?…してたとしてもそりゃあお前の中で好印象っつう事なんだから、別にいいんじゃ…」
『…そういう大人っぽい格好するから私が余計に子供に見えるのに』
「どういう事だよ?お前言っとくけど、雰囲気とか服のセンスとかそこそこ大人っぽいとは思われてると思うぞ?周りから見ても」
『………中也が他の人にかっこいいって思われるのなんか嫌。私なんかそんなんじゃないし…子供だし、子供にしか見えないし、私いない方がもっと中也かっこよくな「待て待て待て」…』
中也がしゃがんで私と目線を合わせ、それから頭に手を置いて言う。
「あーその…つまりなんだ、嫉妬とまたコンプレックスか?」
『!………してな「嘘つけ」…』
口にするのも何だか嫌で、コクリと頷くだけ頷いておいた。
すると短く軽い溜息を吐いてから、お前なぁ…とそのまま頭を撫で始める。
「こちとらお前みてえな綺麗な奴の隣歩かなくちゃいけねえんだぞ?気合いも入れるだろ」
『…私綺麗なんかじゃ「綺麗だ、誰がどう見たってお前は綺麗だ」…子供相手にそんなこと思う人いる?』