第15章 大切な人
「さっきは蝶が頑張ってくれたからなぁ…好きだろ?これ」
あとココも、と、親指を使って敏感な突起をグリ、と柔らかく圧迫され、背中を大きく仰け反らせて快感に震える。
『やぁあッッ!!!?……ッぁ…っ、あ____ッッ!!!』
「は…ってお前もう達したのか!?」
クタ、と中也にもたれかかるように脱力すれば、中也がそこから指を抜く。
『し、かたないじゃ……いですか、ぁ…ッ………い、ま敏感、だ…た、のに…っ』
「いやいや、普段でもまだこれくらいなら粘って…そうでもねえか。……あー悪かったよ、もう今日はいじめねえからんな泣くなって」
『泣いてな…ッ!……ん…っ』
今度こそ、刺激の強すぎない優しいキスが落とされる。
あ、これ好き…中也に触れられながらするの、好き。
単純思考な私の頭はそんな事でリラックスする。
『んん……ッ、ぁ…』
「…結局やっぱこっちが好きなんだよなぁ、蝶は」
『ん……好きぃ…♪』
「……何が?『中也が』…」
無言で再び大きく頭を撫で撫でされ始めた。
これも好き。
全部好き。
ちょっと予想外にも大人の男の人だったっていうのは置いておくとして、全部全部、大好き。
「…今日はどこ行きたい?歩けるならどこにでも連れて行ってやれるぞ」
『ん…中也のとこにい「そういう可愛い冗談はやめとけ、俺が真に受けるから」本当なのに……あ、そうだ。私まだ首領に会ってないや』
「あ」
今の今まで忘れていたけれど、誕生日が来たというのにあの人に連絡の一つもしていなかった。
いけないいけない、こんなことになれば一応普段から多分お世話になってるっていうのに、いい歳した大人が拗ねてしまう。
「…じゃあとりあえず行くか?会ってやらねえと泣くぞあの人。多分」
『手遅れじゃないかな、多分』
首領に忠実な中也でさえもがこの扱いだ。
これ知ったらそれこそ泣くだろうなあの人。
「行ったら行ったで泣きそうだけどな。…っし、お前今日は仕事服じゃなくて平服で出ろよ。そっから外に出るから」
『……中也は仕事服?』
「そりゃあ俺は…………って何だよその目は?」
『中也と平服でどこか出かけたこと無いなーって。いや勿論かっこいいよ仕事服、でも私は平服なのに中也だけ毎回お仕事用っていうのも「すんません、俺も平服で行かせていただきます」…あんまりかっこいい格好しないでね』