第15章 大切な人
『……き、今日じゃなきゃダメ?…ですか?』
「!…いや、半分冗談みてえなもんだから気にしなくていいぞ。朝からこんなにくっつかれんのも久しぶりだしな」
『へ?……!!!!』
バッと中也から腕を離して手を後ろに着く。
『あ、あああああのこれは!!!「いいって、お前にくっつかれんの好きだし」…好き?』
小首を傾げて中也を見れば、ん、と両手を少し広げられた。
珍しい、こんな事今までされた事…あったようなかったような。
広げられた腕の中に吸い込まれるように身体が動いて、そのまままたギュウ、と抱きついた。
…仕方ないじゃない、安心するんだもの、ここ。
「おー、来た来た…人懐っこいのか俺に懐いてんのかどっちだ?お前~」
猫に構う飼い主のように私の頭を撫で撫でし、背中に腕を回して抱きとめる。
『…ちゅうしてくれたらもっと好き……♪』
「お前そうやって上手いこと俺にさせるよな…顔上げろ」
『へ……ッ!』
まさかそんなにすんなりと本気でされるとは思っていなくて、頬に触れられてビクッと肩が跳ねる。
そのまま上に顔を向けられるとやはりどこか以前より大人の色気を醸し出す中也の表情がそこにはあって、見つめられているだけでもドキリと胸が高鳴った。
「どっちがいい?気持ちいいやつか…もっと気持ちよくて大人なやつ」
『ぁ…、っと……ぇ、どっ…ち、でも……』
「あー…お前もっかいイっとくか?」
『な、何言って…ッッ!!ン…っ、ンンっ』
唇を重ねられて、思わず肩を上げて強ばらせた。
軽く唇を啄むように吸われてまたゾクリとし、それを合図に薄く唇に隙間を作る。
何してんだろ、私。
これじゃあまるで最初からこうして欲しかったみたいな…
『っ!んぁ…ッぁ…は、ぁあッ…』
それに気付いた中也の舌が入ってきて、またゾクゾクとした刺激を私に与える。
変だ、絶対変だ、今の私…
上顎の一番感じるところをヌルリと撫でられ始めて、遂には中也の腕にしがみついて快感に耐え始める。
やばいこれ、こんなところ舐められるの久しぶりすぎて…
「……ッ、えらく気持ちよさそうに鳴いてんなァ?キスだけでんな腰くねらせてよ…誘ってんの?」
『!!さ、誘ってとかそん、なぁ……ッッ!!!♡ダメぇ!!今そこ、ダ、ッ…ぁんっ…!!♡』
まだ濡れたままのそこに指が前から入れられた。