第15章 大切な人
「ッ、悪い…」
『?中也、どうし……ッ!?…え、あ、の…っ!』
突然中也に腕を掴まれたかと思えば腰も持たれて、そのまま体勢を変えられる。
向かい合わせになっていたものが、力加減は優しいのだけれどベッドに押し付けられるような姿勢に変わって…
唐突すぎて抵抗も何も無かったのだけれど、こうされて改めて気が付いた。
中也が相手だからとか、そんな話じゃない。
男の人の力に、敵う気がしない。
戦闘中ならそんな事ない時だってあるのに、こういう時になると決まって私は弱くなる。
『…ッ、この、かっこ……な、なんか嫌…』
膝だけ立てて腰だけ浮かせて、まだそこまで進んでもいないのに今からどうされるのか想像がついてしまったような気さえする。
こ、こんな姿勢でされたら恥ずかしいところ全部…
「言うとは思った…けど前戯してる余裕もねえから。……ごめん」
『前戯って……ッ!?だ、っ…今部屋明るい!!恥ずかしいの嫌…っ』
「…そんなに気になるなら視界覆っとくか?」
『へ…し、視界ってそれ……ッ!!?や…っ、これは…っ、中也さん!!?』
思わず焦りすぎて声を大きく出した。
中也が何か布のようなものを私の目を覆うように巻き付けたため、それに抵抗してしまって手を動かそうとすれば、それを見抜いていたかのように中也は私の両手をを片手で後ろ手に固定する。
よ、余裕無いってそんな…いや、あの薬の効果は私が身をもってよく分かってるつもりだけれど。
こんな…?
中也さんの表情も何も見えない状態で、こんな恥ずかしい姿勢で…?
「なんなら渡されたもん色々使ってみっか…確かあれが部屋に……お、あった」
異能で何かを取った中也さんは私の両腕に柔らかい布を巻いて、それを何かで解けないよう縛り付け始める。
『ま、って…まって、中也さん…ッ、な、何して……』
「痛くなるような事はしねえよ…ただ、まあなんつうか……俺にも少しは性的趣向っつうもんがあってな」
『……ッ、な、にするつもり…?わ、たし…中也さんの顔見た……ッッ!!?中也さん!!?』
中也さんの手によって部屋着のワンピースの裾が捲られ、下着が丸見えになってしまう…なってしまっている気がする。
「もうお前も濡れてんのかよ…丁度いい」
『やッ、見な……ッあ、ダメ!!中也さ…っっ』
下着がずらされて、ゆっくりと膝まで下ろされた。