第15章 大切な人
「また弱点に違いねえのは確かだろうが…だが、普通薄められててもここまで俺とお前で差が出るか?俺に移ってたとしても、即効性でなかったとしてもそろそろ効果は現れてくるはずだろ」
『……!!三年周期…』
「あ?三年…?」
『わ、私今日で…というか今日より少し前から、身体が九年分成長したじゃない?………実験中にそんな事聞いたような気がする、三年周期で能力がどんどん覚醒していくって』
今の蝶の年齢が十五歳…そして中也さんと出会う少し前に一度リセットされた私の体は、その時六歳に戻ってた。
だから九歳の時にあいつは私を攫ったのかもしれない…それなら、数年間開けて私を攫った理由にも納得がいく。
「それは…!読んだことあるような気がするぞ、それ…覚醒か…………お前、自分では十五でどうなるのかとかはしっかり把握してんのか?」
『え、それは…今まで、てっきり身体の成長に合わせて能力が進化してきたものだとおもってたから』
「……曖昧だから合ってるかは分からねえ…が、それなら俺に何も影響がねえのにも頷ける」
どういう事?
中也さんが読んだことあるって…それ、いったいいつの話?
思い出してるの?それとも…
頭の中に浮かび上がった考えを否定して中也さんの方に目を向けると、中也さんとパチリと目が合った。
「…………能力の方はあまり実験データがなった気がするから分からねえが、お前の身体は今また少し変化しているはずだ。今日その脚痛めた時、不思議に思う事は無かったか?」
『…力加減が強すぎたのと、普段なら絶対しないような力加減のミスで骨痛めて……でも打撲だと思ってその後歩いたりしてた、のに…折れてた』
「それだ。要するにお前の身体能力の向上と、サポート能力の向上…傷の治りも以前より少し早くなってるはずだぞ」
『!!!…ちょ、っと中也さん……何か失くしても良いもの…!そ、そこのメモ用紙一枚下さい!』
中也さんに撮ってもらった小さめのメモ用紙。
もしも私の予測が正しければ…
そうだ、この世界に来てから能力を使うことの方が少なくて、全然気が付いていなかった。
大人になったら出来るとか、曖昧にしか分かっていなかった。
中也さんにメモ用紙を持ってもらって、そこに意識を集めて能力を発動する。
するとそこからメモ用紙は消え去って、メモ用紙を標的とした扉も作り出せなくなっていた。