第15章 大切な人
「はぁ……た、助かりましたぁ………はあ…」
『中也さんもまだまだだね、殺せんせー盗撮のプロなんだよ、知らなかった?』
「盗撮のプロとかそれただの変た……!」
殺せんせーを休ませてる内に中也さんと話をしていると、何かに気が付いた様子の中也さん。
「…………おい担任、手前俺にも写真売れ」
「にゅ!?う、売るんですか!!?」
「大人の取引しようぜ、俺は可愛い蝶の写真を手に入れる、そんで手前は給料日前にもちゃんとした飯が食える…利害が一致しねえか?」
「そんな素敵なアイデアが「教師が別で金銭のやり取りをするんじゃない!!!」か、烏間先生!!?しまった、ここに鬼教官が…!!」
「ああ、そっかあんた教師だったな。じゃあこういうやり方は無しだ……さあ、蝶を出せ?手前今日でも撮ってんだろ、な?」
キラ、と何処から盗ったのか対殺せんせー用ナイフを持って殺せんせーの背後をとる中也さん。
その様子に一同は衝撃を受けて、中也さんから目が離せなくなる。
『あの、中也さん?私背中にいるんですが』
「金のやり取りがしちゃいけねえなら俺はマフィアらしいやり方で蝶を…………ッてえ!!?」
『大人気ないことしないの、漢字の漢と書いて男と読む殺せんせーのガラスのハートが怯えちゃうでしょ。あと私の写真欲しさに殺人事件起こすのやめて』
中也さんの頭にチョップをすれば、すぐに中也さんはそこから退いた。
「…分かったよ、仕方ねえな……悪いカルマ、これ返すわ」
「え……!?お、俺のだったのこれ!?」
「気付かなかったか。まあ仕方ねえ、あんま気にすんなよ、相手はこの俺だったんだからな」
『でも中也さん私に勝てた事無いよね?』
「違ぇよ、勝ったことがねえんじゃなくて決着つくまで真面目にやり合った事がねえだけだろ。この前喧嘩した時なんか初めてじゃねえの?お前があんな本気出したの」
『え、何?またする?』
「お、するか?いいけど本気でするなら手加減してやらねえぞ?」
『痛いのはやだなぁ』
「すんません負けました、俺の負けでいいっす」
よろしいです、と満足気に頭を撫で撫でしてみせると、照れたような顔で舌打ちされた。
たまにこうやって子供っぽくなるところは本当可愛いのになあ…
『…………マフィアやってる時の中也さん、やっぱりかっこいいや』
「それ帰ったらもっかい言ってくれ」