第15章 大切な人
「まあ、それを前提にプロポーズしたようなもんだからな」
な?と口角を上げながらニヤリとこちらを向いた中也さんにビクリと肩を跳ね上げて、それから顔を隠すように中也さんの背中に顔を埋めた。
「何したんだよあんた…」
「ち、蝶ちゃん?なんか様子が…?」
「ああ、教師陣しか見てなかったんだっけ?この二人…ていうかこの男、相当恥ずかしい告白してたのよね」
「待て、なんで手前がんなこと知ってんだよ糞ビッチ」
「あんた本っ当に蝶以外が相手になると口悪いわよねえ…」
中也さんに、あの現場を殺せんせーが撮影してイリーナ先生と烏間先生に生配信していたのだとイリーナ先生はハッキリそれ。伝える。
すると中也さんはやはりというかなんというか…
「にゅや…!!?こ、これは……って中原さんんんん!!?」
「よし手前ら今がチャンスだ、殺っちまえ」
「「「ボーナスタイム来たあああ!!!!!」」」
殺せんせーを異能で押さえ付けて、その隙に男子勢が射撃とナイフに別れて先生を攻撃。
中也さんも手は抜いているとはいえ、少し攻撃が掠りはしている様子。
「にゅやああああ!!?先生もう地下にもぐ…!?」
「ああ?逃がすと思うか横の俺が?こちとら現役の専門家だぜぇ…俺の異能から逃れたけりゃ、せめて蝶を味方につけておくべきだったなパパラッチが」
「完全に殺る側の顔だこれえええ!!?」
「てかなんで男子全員体育大会なのに暗殺道具持って来てるの?」
その疑問に答えるのは容易いことだ。
『…棒倒しの鬼訓練のモチベーションアップで中也さんが出した条件……一回だけ暗殺に少し手を貸すって約束しちゃったんだよこの人。楽しそうな顔しちゃってさぁ』
「「「あ、納得」」」
勝ったからねえちゃんと。
まあでも、手を貸すだけで本気じゃない…この人もちゃんと分かってる。
中学生にちゃんとした達成感を与えるために、簡単に殺させるような真似はしちゃいけないんだって。
ちゃんと殺すという事を知らない人間に、容易く命を奪わせちゃいけないんだって。
「どうだよ重力に操られてる気分は?うちの蝶なら二秒で抜け出せんぞそんなところから」
「白石さんお助け!!!!」
『…報酬は?報酬』
「ほ、報酬!!?え、ええっと……な、中原さんの隠し撮りブロマイド三十枚!!!」
「は!!?手前『乗った♡』蝶おお!!?」