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第15章 大切な人


「じゃあ今日は私が蝶ちゃんの写真いっぱい撮ってあげるね!」

『え、いい、本当にいいそれは』

「まあ私が撮らなくても殺せんせーと岡島君が撮ってくれてるだろうけどさ」

『何でだろ、ちょっと犯罪臭が』

話しているうちにも体育祭が始まる。
入場行進だなんていうものに参加する日が来るとは思ってもみなかったのだけれど、友達と一緒にこういう行事をするのは楽しいものだ。

少しだけ足取りも軽くなったような気がする。
……中也さんの写真…大事な人との思い出。

写真かぁ…頼んでみたら、撮らせてくれるかなぁ、中也さん。
今日、帰ってからお願いしてみよっかなぁ。

…でも、やっぱり私なんかがそんな事強請っていいのかな。

「蝶も茅野ちゃんも何してんのそんなとこで?早く行かないと始まるよ」

『!う、うん』

カルマの声に立ち上がって移動し、体育祭は始まった。





体育祭において、皆それぞれ、意外な才能を発揮する。

暗殺訓練が役に立っているような面も見受けられ、他のクラスが驚くような順調な進み方を続けていた。

「お、おい!あんな子E組にいたか!?」

「めっちゃかわ……じゃなくて、めちゃくちゃ速ぇぞ!?」

「馬鹿、白石蝶だよ白石蝶!お前ら知らねえのか!!?」

観客席から聞こえてくる声に、リレー競技でゴールしてから気が付いた。

武装探偵社半端ねえ…などの声が聞こえてくるが、別に武装探偵社に入ってから身体能力を向上させたわけではない。

今日はパン食い競走と棒倒し以外はほぼ出場する予定なのだが、ここまで目立つと逆にやりにくいかもしれない。

「アンカー白石とかどんなラスボスだよ」

『ラスボスって何よラスボスって、杉野君倒されたいの?』

「いや、遠慮しとくわ」

「杉野もほんと懲りねえよなぁ、白石様にんな失礼な事ばっか言うからだぞ?」

『し、白石様…?木村君、なんで白石様?』

「すみません、白石さんになんて恐れ多『馬鹿なの?』はう…!!!」

競技に参加していた二人は到着場所が近かったためかすぐにこちらに駆けつけてくれた。
杉野君はいつもみたいな口ぶりだし、木村君……もいつも通り変な絡み方だし。

色々と気が紛れて正直少しホッとした。
しかし、それでもやはり、顔も覚えていない母や父の事が頭の中でチラついてくる。

そんな時だった。

「ちっよちゃあああん!!!」
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