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第15章 大切な人


観客席の方から、馬鹿みたいに大きく響いた声。
馬鹿みたいに明るいノリと、馬鹿みたいにオーバーリアクションな喜びよう。

誰かなんて一瞬にして気が付いた。

『!と、トウェインさん…!他人のふりしていい?』

「ええっ、なんでよ!?僕今日蝶ちゃんのとこ体育祭だって知らなくって急いで駆け付けてきたのにさあ!?」

『なんでそれ知ってすぐに駆け付けてくるの!?暇なんですか、意味分かんない!!』

「そりゃあ蝶ちゃんが行事に参加してるんだから見に来るものでしょ!?ジョンもボスも来てるし」

トウェインさんの指さした方に目をやると、本当にそこにはジョンさんもフランシスさんもいた。
え、そんなもの?そういうものなの、軽くないですか組合さん?

『ぎ、組合さんノリ軽くない…?』

「最初行くって言ったら反対されるかなって思ってたんだけど、二人共急いで準備するぞって着いてきた♡」

『へ!へえ…そうなん……だ?』

「うん…?蝶ちゃん…?」

『……なんでもない!トウェインさん来てくれてちょっとだけ嬉しかっただけ』

久しぶりだし、と付け足せば、いつものようにまた大きな反応を見せるトウェインさん。

「ちょっとだけとか久しぶりだしとか、やっぱ僕にはあたり強いよね!?」

『トウェインさんだしいいかなって』

席の方に寄っていけば、トウェインさんは何故か口を少し閉じてから私の頭に手を置いた。

それに目を丸くして顔を上げると、トウェインさんと目が合う。

『と、トウェインさん…?何……?』

「…ごめん、僕ちゃんと聞かないと気が済まないタチだからきいちゃうけど……酷い顔してるよ、何かあった?」

『!!………そんなに酷い?』

「うん、すっごく。すっごく寂しそうな顔してる」

寂しそう?私が?

「前、白鯨の中にいた時みたいな…それよりももっと寂しそうな顔してるよ。中原君絡みの事?」

『……今、あんまり中也さんの事言わないで。なんか、今日はあんまり考えたくない…から』

「!そ、っか…って、早速で悪いんだけど今日中原君来てないの!?絶対来てて僕に文句の一つでも言いに来るかと思ったのにさ!?」

『中也さんが来るわけないじゃない、組合と違ってお仕事多いし、それに中也さんがわざわざ見に来る必要ないでしょう?』

「え…?」

トウェインさんは目を見開いて固まった。
まただ、またこの顔だ
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