第3章 新しい仲間と新しい敵と…ⅰ
戦闘終了を確認して、鏡花ちゃんから防御壁を解除する。
輸送船はそろそろ危ない。
早く、連れて帰らなくちゃ。
『っ…鏡花ちゃん!中島さんのこと、頼んでもいい?国木田さんがボートでそこまで来てくれてるから、探偵社まで連れて帰って!』
しかし、気がかりになって仕方が無かった。
「貴女は?一緒に行かないの?」
焦った様子で問う鏡花ちゃん。
ごめんね、私は探偵社員だけど…
『うん、やる事…あるからさ。私は絶対死なないから、国木田さんにも気にしないでって伝えててくれる?時間が無いから、急いでくれると嬉しい』
「…分かった。プリン、ありがとう」
『!……どういたしまして』
中島さんを担いで、鏡花ちゃんは輸送船から飛び降りる。
それにタイミングを合わせて輸送船を覆っていた防御壁も解除する。
そしてどっと私に襲い来る懈怠感。
それもそうか、こんな規模の防御壁…それも爆発に耐える強度のものを持続させてた上に、ムキになって固定砲台との銃撃戦でずっと弾を込め続けてたから。
しかしこのまま倒れてしまっては、わざわざ鏡花ちゃんに先に行ってもらった意味がない。
重い体をなんとか立たせて、芥川さんを肩に担いだ。
芥川さんの意識がない分、とても体に負荷はかかるが、ひどい怪我だから起こすわけにもいかない。
遠目に国木田さんがボートを離れさせていくのが見え、一安心。
後は私が頑張るだけだ。
港の、人がいない、死角になっている場所にテレポートして芥川さんをそっと寝かせる。
そして、今に大爆発を引き起こしそうな輸送船に向かって、もう中に人はいないため、先程よりももっと頑丈な防御壁を張った。
今度は、船の上方も覆い尽くすようにして。
刹那、大きく船が爆発し、少し遅れて爆発音が鳴り響いた。
爆発で吹き飛ばされる輸送船の残骸は、全て海に沈む事もどこかに飛んで被害を出すこともなく、船があった場所で固まって静止している。
『……っ、危ない、意識持っていかれかけた』
一瞬目の前がふらついたものの、後はあの静止させている残骸を、海の環境に影響をきたさないくらいに離れた陸地に移動させるだけ。
どこかにいい場所はないかと探してみるものの、港になんか移動させたって大変な騒ぎになるだろう。
何か、何かないの…!?
キョロキョロとあたりを見渡していると、船の廃材置き場が目に付いた。