第15章 大切な人
なんで私の肌はこんな色なのだろう、ここまで白い必要がある?
__ううん、無い。
じゃあ、髪がこんなに真っ白な必要は?
__無いよ、まずはこれのせいで色んな人から気味悪がられちゃうっていうのにさ。
なら、こんな体質になっちゃったのは?
__澪が生まれるためには必要だった。それは仕方が無いことだし、こんな体質にされてしまったことについては恨んではいない。
それなら、そんな能力を“生まれ持ってしまった”のは…?
____…
自問自答を繰り返しても、そこだけは言葉にも出来なかった。
そもそも私が実の親から決定的に態度を変えられてしまったのは、私の能力の片鱗が見えた時期からだったという。
それこそ私自身にも自我なんてものがちゃんと芽生えていない年齢で、知らないうちに暴走して…
結果、今で言う児童虐待…のような、育児放棄のような………拷問のような。
そんな毎日を送って。
だけど、死ぬ事は出来なかった。
能力が制御出来なかったから。
勝手に私の身体を生かそうとしてしまったから。
ご飯を食べていなくて、どうして小さな子供が生き延びられる?
“四年も飲み食いせずに”、どうすればそんな事が可能になる?
最終的には少しのきっかけで、私は自殺を図った。
否、それで結局、当時六歳であった“私”は死んだのだ。
それで生き返ったから今このようにして生きているわけではない。
その時に死んでしまったから、こんな身体になってしまったのだ。
私が今こうして過ごしていると知ったところで、私の親は恐らくもう死んでいる。
それよりも長く生きすぎたから。
仮に生きていたとしても……恐らく何も喜びはしない。
頭の片隅にだって、私が存在していたのかどうか。
蝶の中で、私がまた悲鳴をあげる。
普通の子達を見て、その子達が私を見て…やはり違うと、そう思う。
「どんな教育受けたらあんなに偉そうになるのよ!?」
「聞き耳立てるとか…」
「親にでも嫌われて、グレて彼氏でも作って遊んでるんじゃない?髪も染めてコンタクトまでして目の色変えてさぁ」
『…』
反論も何も無い。
私を辿っていけば、間違っているとは言いきれない。
親から逃げて、自分から逃げて…周りの誰からも逃げていって、行き着いた先で中也さんと出逢ってこういう関係になって。
___お母さんって…お父さんって、何なんだろう
