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第15章 大切な人


「り、理事長から雇われ…!?」

『後は私の方も学校と仕事を両立出来るところを探していましたし。浅野さんには本当に感謝しかないというか…ってここでお話することでもないですね。で、本題なんですけれど、カルマを巻き込んで勝手な噂を立てるのはやめてもらってもいいですか?』

「!!き、聞いて…っ!?」

『すみません、こういう仕事をしてると話し声もよく聞こえてしまうので。私は別にどうこう言われても返すつもりもあまりないんですけど、友達巻き込むのはやめてください』

こういったことはよくあった。
何かにつけて噂が一人歩きしてしまい、大きな誤解を招いてしまうようなこと。

ていうか今準備時間なんだから準備くらい進めなさいっての。
それになんで私だけ皆と離れて本校舎組と準備なのよ、意味分かんない。

……これ名前入れたの絶対浅野君だわ、間違いない。

「へ、へえ?随分はっきり言うのね?私達の浅野君に生意気な事言ってたって聞いたけど?」

『?生意気…ああ、この前の。やだなあ、生意気も何も、同じ舞台で戦うレベルにも無いのに生意気な口だなんて叩くはずないじゃないですか……私、別に浅野君に興味無いんで』

「「「な……っ!?」」」

『え?普通じゃありません?喋ったこともそんなに無いですし、優しい友達も浅野君以外にも大勢いますし…ああ、ここも勘違いしないでほしいから言っておきますけど、私一応他にお付き合いしてる方がいますので』

そこまで言い切ってしまえば三人の女生徒はポカンとした顔になる。

「お、お付き……合いって…え、E組と?」

その発言に少し頭に気はしたのだけれど、それを顔に出さないようにして不思議そうな顔を浮かべる。

……何、さっきから。
浅野君の事だって私達の、とか…E組と、とか……一々癪に障る言い方。

『いえ、それはまた別の人ですけど……何か?』

「ええ!?べ、別に…!そ、そうだ準備しなくちゃ!ね!!またね白石さん!!」

いそいそと走って少し離れていくものの、結局三人でまたコソコソと私の話をし始める。
あれ、でも不思議とE組だからという理由で馬鹿にされはしていないのかしら…ここの生徒って本当に不思議。

中学生らしい奢りが過ぎるというか……まあ、一々考え込んでしまう私も、十分に思春期らしい困った頭の状態なのだけれど。
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