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第15章 大切な人


「なあ、あの噂本当だと思うか?」

「実際に見れば見るほどそんな風にはとても…」

ザワザワする日だということはよく分かる。
しかし、それにしても本校舎の生徒からの目線が刺さる。

「白石蝶って大人っぽいとは思うけどあんな子供みたいな…?」

「しかもあれで武装探偵社の社員なんでしょ?異能力って本当にあるの?」

記念すべきというかなんというか、本日は待ちに待った決戦日、体育祭だ。
男子諸君に施された中也さんからのスパルタ…というより、中也さんにしては珍しく頭を使う講座が多かったようにも思える指導。

まあ、棒倒しにおいて人数差があればそれくらいは必要なのだろうけれど。

それで本校舎に来て準備を始めるも、それはそれで、やっぱり私の見た目は目立つらしい。
……ああ、そういえばこんな見た目が原因でそもそも母親からもまともな扱いを受けていなかったんだっけ。

それにやっぱり、同学年なはずの子から見てみても子供なんだ。
異能力だって、やっぱり皆が皆、快く思うようなものじゃない。

「浅野君に喧嘩売ったらしいわよ?毎回テストでも学年一位だし…内心見下してるんじゃない?」

「えっ、そんなことしたの!?ていうかそれは前から結構思ってる子いたよね、E組なんかにわざわざいるのもそれが原因かもって」

「先生に媚でも売ってるんじゃないの?それにほら、赤羽と仲良いって噂だし…付き合ってるとか?」

あらぬ噂を立てるのが、人は本当に好きらしい。
特にこの年齢の女の子にもなると、勝手な想像で色々と話を膨らませてくれる上、それを色んな人に拡げてくれてしまうからタチが悪い。

ていうかカルマと付き合ってるとかないし、そういうのじゃないし。
こんな噂ばっかり立てられてちゃ、私はともかくカルマの方に失礼じゃない。

『……あの、私とカルマが何か?』

「げっ、聞こえ……ッ!な、何か?いや、あ、赤羽…君と仲良い女の子なんていなかったから珍しいな〜って!」

『見てないだけで結構いるとは思いますけど…』

「そ、そうなんだ!……あ、そういえば白石さんって武装探偵社の探偵なんだよね!?そんなところで働きながらどうしてこの学校に入れたの??」

『理事長さんからの提案で。それに、ついでというかなんというか…ここの生徒に何かあった時の用心棒みたいな依頼を受けていますので』

騙してはいない。
嘘はない。
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