第15章 大切な人
「あっれれ〜、気になるのかなぁ中也?私と蝶ちゃんの秘密の話が♡そりゃあ気になっちゃうよねえ!あんなに密着してひそひそ話されるとさ!」
「んなッッ!!?ち、蝶、とりあえずとっととそいつから離れ「だ〜め♡」〜〜〜〜!!!?」
『へ?だ、太宰さん?』
後ろから腕を回してギュウッと私を抱きしめた太宰さんに、中也さんは声にもならない声をあげて見たこともない…否、何度か見たことのある表情をして固まる。
私の頭の上に軽く顎を乗せた太宰さんは、なんとも楽しそうな雰囲気を放出しながらうふふふと笑っている。
しかしそれも束の間の事。
「『い……ッッッ!!!?』」
ゴンッ、という鈍い音と共に太宰さんの顎から頭に激痛を加えられ、その場に蹲る。
しかし私だけでなく太宰さんまでもが声をあげ、挙句の果てには私と同じようにその場に倒れ込んでいた。
「ち、蝶!!?…って、手前は……!?」
「ようやく見つけたぞ糞太宰、この唐変ぼ……?そこに座っているのは白石か?どうしてそんな所に……!ま、まさか腹痛か何かか!?それともポートマフィアの中原中也と何か…」
「く、国木田君、そのポートマフィアの蛞蝓ならそこにいるんだけど…」
「ああ!?……って、は?なんだこの状況は?」
唯一困惑している国木田さん。
しかし国木田さん以外の私達は、もう何が怒ったのかを理解した。
国木田さんが来たのか、そうなのか。
『………っ、く、国木田さんに殴られたぁ…!中也さんにも殴られたことないのに!!!』
「俺がお前を殴るわけねえだ「ちょっと中也は黙ってようね〜」ぐ……っ!!?」
「お、俺がいつ白石を殴ったというんだ!?」
『覚えてないなんて最低国木田さん!私、国木田さんはそんな人じゃないって信じてたのに…っ、中也さんからちゅーされても許さない!!』
「「ぶッッ!!?」」
盛大に言ってやる。
痛かったし、ていうか現在進行形ですっごいジンジンズキズキするし。
「な、なら好きなケーキをなんでも二十五個なら!?」
『許……すわけないでしょう!!?』
「今許しかけたね」
「………不可抗力だろ、頭乗せてやがった太宰に非がある、こいつが悪ぃ。仕事サボって来たのもこいつだ、苦労人は許してやるもんだぞ蝶。俺が言ってた」
『国木田さんは悪くないですね、太宰さん早くお仕事戻って』
「「変わり身早ッ」」
