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第15章 大切な人


『確かに武装探偵社の専門といえば戦闘のことかと思われる方が多いでしょうけど、それなら探偵社なんて名乗らないわよ……で、どうするの?内容によっては私も本気でE組の手助けするつもりなんだけど』

「探偵社員…どうやら僕達は君の事をただ頭がいい人だと勘違いをしていたようだ。それなら、ますますE組には惜しい人材……!ならば、磯貝の退学と君のA組編入を賭けて、勝負しようじゃあないか」

『またその話?賭けるのはいいけど…でもそしたらさ、こっち側に何もメリット無いんじゃない?』

「不満か?……まあ、確かにそれでは賭けにはならないな。では、君にはたくさん甘い物でも贈呈しようか」

ちらりとテーブルの上に置かれたパフェの器を目にして、浅野君はそう言い張る。
しかし、本来ならばそんな事で、となるところなのだが…

「あー…浅野?それだけはやめておいた方がいいと思うぞ、一応言っておきはするが」

「浅野君、E組を代表して私からも…それだけはやめておいた方がいいよ、本当に」

「餓鬼、あんまりこいつと安易に甘いもんの約束はしねえ方がいいぞ。手前の財布の中身と店中の甘味を食い尽くしてもまだ食うからなこいつは」

『皆してなんか失礼じゃない?』

中也さんまでもがこの調子…いや、中也さんだからこそそこまでの具体例を述べられる。

「ぼ、僕の財布が…はともかくとして、店中のって…?」

『私、いくらでも食べていいって言われたらいつまででも食べ続けられる自信あるよ?やりすぎたら出禁になっちゃうかもだから今はあんまりしてないけど、しようと思えば今からでもここのデザートを食べ尽く「蝶ちゃん、今度プリン食べに来る?」え、行く!!』

「……な、やめとけ。悪い事は言わねえ」

「…まあ、それも僕らが勝つからない話さ。白石さん、君は必ずやA組に来ることになるとだけ言っておくよ」

浅野君がこちらに近寄り、顔をスッと私に寄せる。
それから私の頬に少しだけ触れて、束ねた髪をサラリと撫でてから笑顔になって離れた。

「な…っ、手前……!?」

「白石さんは僕に触れられても嫌がらないのかい?」

『何かあったら中也さんが何とかしてくれるからいいかなって』

「!……成程?随分な信頼関係なようで少し羨ましいよ…僕も君とは仲良くなりたいんだが」

『ふふ。私、中也さん以外のベタベタしてくる男の人って嫌いなの』
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