第15章 大切な人
「ていうか育ての親って、何歳なんだよこの人?」
「さ、さあ…歳上……だよな?」
「悪かったな小さくて」
『中也さんそれ被害妄想』
ゴロゴロとすり寄るようにくっついていると、A組の皆様方からは驚きの目を向けられる。
「か、可愛い…ていうかさっきのこの人かっこよ『中也さんが何ですって?』い、いやかっこよかったなと…」
眼鏡をかけた長髪気味な子の呟きを聞き逃さず、すぐにそちらに顔を向けて反応した。
『そうでしょそうでしょ、中也さんかっこいいよね!私貴方とは仲良くなれそうな気がするよ!』
「な、仲良く…!!……そ、その中也さんとやらよりも僕の方が『あ、ごめんなさいやっぱり無理な気がします』酷いッ!?」
「諦めろって、白石の基準は中原さんなんだから」
「蝶ちゃん可愛いから仕方ないけど、こうもバッサリだと相手にも同情しちゃうなぁ…」
最早見慣れた光景だからか、岡島君やカエデちゃんは落ち着いている様子。
浅野君もまあ平然としている…少し驚きはしているみたいだけれど。
『ていうか中也さん、パフェ次いこうよ次。磯貝君の特製パフェ』
「!そうだ、磯貝君…君、まだ懲りずにバイトを続けていたのかい?」
『え、E組ってバイトしちゃいけないの??』
私の発言にその場の全員が固まった。
「……白石さん、うちの学校はバイトは禁止なんだ。彼はそれが見つかってE組落ちをした愚か者なんだよ」
『家計のためにバイトをしてる事の何が愚かなの?それに、それなら私働きながら通ってるんだけど』
「「「!!!」」」
「君が働い…!横浜の武装探偵社の社員だという噂は本当だったのか!」
パフェを口に運びながら悠々とした態度で浅野君に接する。
一緒に来ていた皆だけでなくA組の子達もポカンとしている様子だけれど、何も間違ってはいないはずだ。
『うん、お仕事しながら通ってる。磯貝君がそれで処分されるっていうんなら、勿論私にも何かあるんだよね?』
「!?ど、どうしてそんな事を?僕はまだ何も…」
『悪いこと考えてる顔してるもの、浅野君。だからてっきり私、磯貝君のこと退学にでもする…なんて見せかけてまたE組と何かの勝負でもするのかと思ったのだけれど』
言った途端に図星だと言わんばかりの表情をするA組一同。
あらら、バレバレじゃないそんな反応しちゃったら…
