第15章 大切な人
「見ました奥さん?ラブラブですわよ」
「見ました見ました岡島さん、デレデレですわねお二人共」
「…茅野も岡島君も何してるの?」
全て聞こえて我に返った。
違う、公然でイチャつこうとかそういう魂胆じゃない!!
……いや、人前で甘やかされるのも恥ずかしいだけで嫌いではないのだけれど。
「はい、中也さんはコーヒーとチョコレートケーキで、蝶ちゃんはストレートティーとストロベリーチーズケーキパフェ!……今日はやけに量が少ないみたいだけど、本当に一つでいいの?」
目の前に磯貝君が頼んだメニューを持って来てくれ、美味しそうないちごパフェが登場する。
これは…食欲も出るなぁ。
『と、とりあえずだから…い、頂きます……!』
「ふふ、お代わり必要ならまた全部制覇してくれてもいいからね。俺も作る腕は上げてるから」
『ここのやつクリームもだけどソフトクリームにしてくれてるのがいいよね〜、磯貝君お手製パフェになっちゃってるみたいだけど』
「蝶ちゃん提案のパフェだしどっちかっていうと蝶ちゃんお手製パフェじゃない?」
「「「「いつの間に精通してたんだ…!?」」」」
磯貝君の言う通り、私が以前来た際にポロリと漏らした言葉を店長さんに拾われ、見事にパフェの種類が増やされてしまったのである。
クリームの代わりにソフトクリームを使うだけにとどまらず、アイスはアイスでちゃんとした柔らかめのジェラートになっていて……なんて贅沢なパフェなんだろう。
馴染みの味…あの味がすれば、きっと美味しい。
美味しい……甘い。
『………美味しい…っ、ねえねえ中也さん、やっばりもうちょっとここいてもいい!?他も食べる!!』
「言うと思っ……おう、食え食え。なんなら今日のところは俺が持ってやっても『中也さんそれで毎回奢ってくるからやだ』なら観念しろ、今日もお前にゃ払わせねえよ」
その代わり一口ずつくれ、と言う中也さんに、キョトンとしながら首を傾げる。
『一口……?』
「一口くらいはい『違う。そうじゃなくって…ああ、そっか。最近頻度減ってたもんね』な、何の話だ??」
『中也さんは私と全部半分こするんだよ?多分ちっちゃい頃の方がよくやってたから、それで曖昧なんだと思う』
「!は、半分……半分って…あの量を俺は半分も食ってたっつうのか……!?」
『あ、量は覚えてるんだ』
