第3章 新しい仲間と新しい敵と…ⅰ
扉を飛び抜け、落下する先に見えたもの。
それは、一面に広がる海。
「白石、来たか!……おい、どうした!?」
『嘘、聞いてな…』
海、青く輝く広大な海。
国木田さんは、探偵社の小型ボートを使って、海の上にいた。
ボートに着地をすればいいではないか、私の能力があれば一瞬でそこまで移動ができる。
「何をしている、そのままでは海にっ!!」
しかし、体が、脳が……動かない。
『海…、やだっ…やだ!!』
海に……あの、冷たくて寂しい海の中に、落ちる___?
もうあそこは嫌だ、もう私から中也さんを遠ざけないで。
目をぎゅっと瞑って、海への落下の衝撃に耐えようとしたが、予想した痛みはこなかった。
「全く、何をしている、俺が少しでも遅れていたらどうなっていたことか!……白石?」
『国、木田さ…わ、私…っ、ごめんなさい、ごめんなさっ』
国木田さんに受け止めてもらってから、恐怖心が一層込み上げてきた。
体に力が入らない。
震えが止まらない。
「白石っ、お前、いきなりどうし…」
しかし、国木田さんの腕の中にいると脳が理解すると、思考力が戻ってきた。
『っ!…ここ、ボートの上、?』
「……ああそうだ、そして小僧とあの小娘はあっちで、恐らく芥川と交戦中だ」
あっちと言われ、国木田さんの見る方向に目を向ける。
大きな大きな輸送船…それにしては、煙や炎が立ち込めている。
『煙、炎…っ、まさか!!』
これなら、国木田さんがあの船に近寄れず、私が呼ばれた理由に納得がいく。
勿論芥川さんとの戦闘から無事に帰れるようにというのもあるのだろうが…
「そうだ、先程から爆発が起こっている。恐らく仕掛けたのはあの小娘で…敦は今、小娘の救出に向かっている」
爆発で近寄れないのなら、例え中島さんが無事にこちらにこれたとしても、受けきることが出来ずに海に落ちてしまう。
そう、海に……大丈夫、きっと。
私だって前より強くなったし、何よりも今は…
『国木田さん、私、行ってきますね』
「大丈夫なのか?さっきはえらく取り乱していた様子だっだが」
『大丈夫です…頼りになる人がいますから。きっと、また受け止めてくれるでしょう?国木田さんなら』
ふふ、と笑いながら言うと、全く…と言いつつ照れてしまう国木田さん。
そう、今は前とは違う。
頼れる仲間が、傍にいる___