第3章 新しい仲間と新しい敵と…ⅰ
「え、待って蝶ちゃん?それじゃあまるで、まだ余裕があるって言ってるみたいなものじゃ…」
『ん?余裕があるのかは分からないけど、まあ早く撃ってくれたら弾切れも早くなって、早く終われるでしょ?流石に退屈になってきちゃったからさ』
この発言で、殺せんせーまでもが唖然とする。
「貴女程の銃の使い手がいただなんて、先生びっくりです。世界は広いですねぇ」
『そんな、私なんてまだまだですよ』
いやいや、十分だからという声を皆漏らしているが、全然足りない。
銃が通用しない相手なんていくらでもいる。
機械を相手にしてるくらいで集中力がいるだなんて、全然腕がなまってる証拠だ。
___きっと、“前”ならもっと…
そこまで考えて、それ以上考えるのを放棄した。
ヴーッ、ヴーッと音がする。
同時に震える私の携帯。
授業中の教室にはうるさすぎるくらいに鳴り響くそれを確認しようと見てみると、表示されていたのは谷崎 潤一郎の文字。
谷崎さんがこんな時間帯に私に連絡してくるだなんて、滅多にない。
大体の場合、何かあったら国木田さんから連絡が入るのに。
唯ならぬ予感がして、すぐさま席を立つ。
『殺せんせー、すみません…ちょっとトラブルがあったみたいで』
「はい、急ぎの用なのでしょう?」
『恐らく。…固定砲台については、お手伝い、戻ってきたらちゃんとしますから』
「おや…敵いませんねえ、貴女には」
『そんなことありませんよ、では』
殺せんせーと短いやり取りをして、すぐに教室の窓から飛び出して山の木々の中に入った。
走って移動しながら電話に出る。
『もしもし、すみません出るのが遅くなって!どうされました!?』
「蝶ちゃん、よかった出てくれて!実は、敦君と敦くんが連れてきてた女の子…あの子が、ポートマフィアの芥川龍之介に攫われたらしいんだ!国木田さんも向かっているんだけど、相手はあの芥川でっ、」
『分かりました、国木田さんの所に行けばいいんですね!谷崎さんはどこか安全な場所にいて下さい、必ず皆さん連れて帰りますから!』
「すまないっ、事が終わったらまた連絡してほしい」
『はい、では!』
電話を切って、すぐに国木田さんの元へと繋がる扉を作り、飛び込んだ………そこがどのような場所なのか判断もせずに。
『国木田さっ…ぇ、?』
気が動転して力が抜けた。