第3章 新しい仲間と新しい敵と…ⅰ
ドドドドドッ、と鳴り止むことのない射撃音。
二時間目は数学の授業だった。
私からしてみれば中学レベルの範囲の数学なら暗算で解けるものばかりだから、授業という形は一応は成立している。
隣の席から放たれるBB弾を、二丁の銃を使って撃ち落としながら、なのだけれど。
『へえ、結構な量の弾が内蔵されてるのね貴女?もういっその事銃のリロードに特化した機械にでもなった方が、暗殺に貢献できるんじゃない?』
堂々と嫌味を言い放つ。
周りの子達はそんな私を横目に、少し顔を青くしているようだ。
「貴女の射撃には気になる部分が幾つかあります。…が、それ以上に気になるのは貴女のその腕前」
『腕前かあ、ごめんね?私この銃使ってる間は手加減出来ないんだわ』
「手加減、というのにも納得ですが、私はこのような銃捌きをされる方を見た事がありません。相殺されるだけでも驚きですが、何故弾いた後の弾が、全てその入れ物の中に入っていくのです?」
その入れ物、というのは、私が休み時間中に用意していたプラスチックの入れ物…基、どこにでもあるような、何の変哲もないただのプラスチックバケツであった。
そのバケツは、私と固定砲台との丁度真ん中に置かれている。
ここに全部集めれば誰も被害を被らないし、何より掃除の手間が省ける。
『え〜分かんない?気合いと根性と愛さえあればこれくらい…』
「「「出来ねえよ!!」」」
ガタガタッと皆一斉に振り返って突っ込む。
相変わらず息がぴったりなようで。
「気合いと根性と……愛、ですか?」
『そうそう、まあ私の場合は愛が百パーセントな場合がほとんどだけど』
一時間目の時よりも間合いが詰められている分、流石に集中力が少しいる。
弾の相殺は全て実力で行うが、弾を入れるのには弾の材質上、能力に頼る他ない。
私の場合はこれが常であったため、特に支障をきたすようなことはないのだが。
そして唐突に、相手の銃撃が止んだ。
「……弾切れです、装着するのに時間がかかるため、少しお時間をいただきます」
なるほど、本当に大量のBB弾を内蔵されてるらしい。
『うん、じゃあまた三時間目、だね』
「では」
またもや機械のパネルから少女が姿を消した。
弾切れするまでに四十分程か…
『もうちょっと速射性を高くしてくれれば、早く終われるのにねえ』