第3章 新しい仲間と新しい敵と…ⅰ
結局あれからすぐに一時間目の授業は終了し、休み時間に入った。
「そういえば蝶ちゃんさあ、昨日中也さんと新幹線で何かあった?」
『ええ!?何でそんないきなりっ…』
突然のカルマ君からの質問に挙動不審になる。
しまった、これじゃ肯定してるようなものじゃない。
「あ、やっぱり?いや、中也さんに連れ出されて帰ってきてから、やけにくっ付いてたし、中也さんも中也さんでなーんか反応変わってたから?」
『中也さんの反応が…?どんな風に?』
カルマ君の言った言葉が妙に気になった。
「え、分かんなかった?じゃあ俺の思い過ごしかな。なんていうか、蝶ちゃんのこと意識してたような…ほら、駅で別れた時もなんか必死そうだったし」
『い、いい意識!ですか!?』
意識って…意識してたって、つまりはそういう事だよね!?
いや、まあ確かにそんな気がしないこともないような節が見え隠れしてたかもしれないけども!
そこでまた脳裏を過ぎる、昨日の事。
あ、そうだ。
私昨日、中也さんからおでこにキスされたんだ。
『……あれ、結局どういう意味があったんだろう』
「ん?何が?」
『んーと…また放課後にでも聞いてもらっていい?』
カルマ君は、何だかんだからかってくるけど、なんでも聞ける具合には心安らぐ存在となっている。
人に誤解されがちな性格の彼だが、根は素直でとても親切な人だ。
「放課後ね、オッケー、わざわざそこまでお預けって事は、相当人には言いにくいことがあったんだね?」
興味津々に、そして盛大ににやにやしてくる彼には、一瞬だけ悪魔の角と尻尾が見えた気がする。
『お、鬼!悪魔!絶対他の子に言わないでよ!?』
「ふふっ、言わないって、そんなに必死にならなくても大丈夫だよ」
今度はお腹を抱えて笑いだした。
なんというか、笑いのツボがよく分からない。
『なってないです!…絶対ダメだからね!?』
「ぷっ、それを必死だっていうんだよ。わかったわかった」
なんだろうか、この軽くあしらわれている感じは。
カルマ君が何故か大笑いして、最初の休み時間は終わった。
『さて…』
「では、二時間目の授業を始めます」
殺せんせーが言ってから、ブン…、と機械の起動音が聞こえた。
「発射準備、用意…」
『さて、一肌脱ぎますか』
お互いの視線が混じり合う。
「標的、白石 蝶」